第67話 背後からの暗殺!!
ジークの奥義で、敵パーティーを殲滅した後、私達は、その場から離れた場所に移動していた。
「来た……」
「かなり、多いね」
木の上にソルと一緒にいると、気配感知が反応した。今までにないくらいの、沢山の反応だ。ソルが下に降りる。私は、その場に残って単眼鏡を使い、気配のする方を覗いてみた。
「森の中だから、よく見えないのが多いけど、基本的に接近戦を主流としてるパーティーが多そうかな……」
確認を済ませたら、私も地上に降りる。
「基本的には、戦士系が多そうだよ。魔法使いもぼちぼちいるかな」
「なら、ルナは魔法使いの殲滅を優先してくれ。俺達は、敵を正面から迎え撃とう」
「シエルは、ガーディを傍にいさせておいてね。シエル自身の戦闘力は皆無なんだから」
「プティに指示を出すために、見える場所にはいなきゃだもんね。分かった」
「じゃあ、私は、別行動になるから。皆も頑張ってね」
私は、ソル達と分かれて、木の上を渡っていった。せっかくのパーティー戦だけど、勝利を優先するために、個人行動が多くなるなぁ。まぁ、戦闘の仕方が、そういったものだから、仕方がないといえば仕方ないんだけどね。
「さて、皆のためにも、私の役割をこなさないと」
────────────────────────
私は、少し高めの木の上で、敵パーティーが集まってくるのを少しの間待った。
「……来た」
単眼鏡を使って、索敵していると何パーディーか集まって来ているのが見えた。もうすぐ、会敵する。
すぐに戦闘音が響きわったってきた。複数のパーティーが一斉に会敵したから、すぐに乱戦に発展した。
「魔法使いは……」
乱戦となっている戦場の、どこに魔法使いがいるかを把握する。そして、黒闇天の銃口にサプレッサーを取り付けて移動した。マガジンの中身は、さっきまでと同じホローポイント弾だ。
「他のパーティーも集まってきた。急いで、減らさないと。銃技『精密射撃』」
魔法を放とうとしていた女性の頭を的確に狙い撃つ。サプレッサーのおかげで、音がそこまで響かない。でも、私はすぐに移動した。場所を変えて、別の魔法使いに向けて、撃っていく。
「な、何だ!?」
「魔法職が倒された!」
戦場で少し騒ぎになるが、戦闘中のため、原因を探ることが出来ないみたい。それなら都合が良い。
私は、木の上を移動しつつ、魔法使いを次々に倒していった。
「これで、この辺りにいる魔法使いを倒し切れたかな。後は、後ろからバレないように、倒していけばいいかな」
フードをきちんと目深に被って、黒羽織の能力をフルに発揮させる。そして、木の上から、頭を剥き出しにしているプレイヤー目掛けて、フルメタルジャケット弾を撃ち込んでいった。貫通していく弾は、撃ち込んだ人の後ろにいた人にも命中する。
「がっ!」
「ぐっ!」
「うげっ!」
一発撃ち出す度に、場所を移動して、位置を掴ませないようにする。人数が少し減ったことによって、ソル達も戦闘がやりやすくなっているみたい。今も、ソルによって斬り伏せられたり、プティのアッパーで空高く舞ったりと、プレイヤーが次々に倒れていっていた。
「順調……なわけないか……」
気配感知に新たな気配が引っかかった。まだまだ、戦場に敵パーティーは存在する。このままだと、全滅させる前に集まってきてしまう。
「早く片付け……いや、むしろ、集めた方が良さそうかな……」
気配感知から、どこに敵パーティーがいるか分かるので、新しい敵が遠い内に、今この場にいる敵の数を減らしていく。
「もう、近くに来ているね。私は、そっちを優先しよう」
今よりも高い位置に移動して、新たな敵を待つ。新たな敵達は、それぞれ鉢合わせになると、すぐに戦闘を開始していた。私は、敵の中にいる魔法使いを全て殲滅していく。自分達の後ろで魔法を準備していたはずの仲間が、いきなり倒れた事で、敵パーティーは、どこも混乱していた。
「これは……まさか! 『黒衣の暗殺者』の仕業か!?」
敵の一人がそう叫んだ。その認識が、周りにどんどん伝播していった。
(余計なことを……てか、その呼び名、広がってるんかい……)
いつの間にか、有名になっている。暗殺者って呼ばれてるのに、有名になるって、暗殺者失格なんじゃ……
「今のところ、他のパーティーが集まってくる気配はない。このまま、全滅させる方向でよさげかも」
私は、木から飛び降りて、黒影を引き抜く。バレてるのなら、アトランティスと同じように動いて、もっと混乱させた方が、ソル達が動きやすいと思う。
敵パーティーの最後尾にいる人に、素早く近づいて、喉元を斬り裂く。そして、その少し前にいる人の頭に銃弾を撃ち込んだ。
「なっ……!? 出たぞ!!」
私が攻撃したと同時に、振り返った人がいて、すぐにバレてしまった。まぁ、それが目的だったからいいんだけど。
「やれ!」
私、目掛けて二人のプレイヤーが突っ込んでくる。それに対して、後退するのではなく、同じように前に出た。大きな剣を持っている騎士の足元に黒影を投げつける。
「うぐっ!」
騎士の影に黒影が刺さったことで、騎士の動きが完全に止まる。そして、軽装の敵に、マガジンを入れ替えた黒闇天を向けて撃つ。喉当てに当たった銃弾は、そこで小規模の爆発を起こした。
「……!!」
喉当てによって、衝撃を少し殺すことが出来たみたいだけど、それでも十分なダメージを与えられた。敵は、喉を押さえて呻いている。声を出すことが出来ないみたいだ。まともに動けなくなったその人の頭を撃ち抜く。マガジンを入れ替え忘れたから、頭が軽く弾けた。
(うわっ……さすがに悪い事したかも。ごめんなさい……)
そう思いつつ、動きを止めている騎士に近寄る。その間に、マガジンをフルメタルジャケット弾に入れ替える。
「銃技『一斉射撃』」
騎士の分厚い鎧に、十発の銃弾を全て撃ち込む。
「がっ……!」
騎士を倒す事が出来たので、地面に刺さっている黒影を抜いて走る。
後ろからすれ違うプレイヤーの首を斬り裂いたり、頭や心臓に銃弾を撃ち込みながら、走り続ける。
「ルナちゃん! 真上に跳んで!!」
ソルの声が聞こえたと同時に、近くのプレイヤーの肩に脚を掛けて、跳び上がる。その一秒後、私の真下にいる人を含めたほとんどのプレイヤーが両断された。蟹退治の時に使った抜刀術の『
着地と同時に、周りを見回すと、敵は残り数人まで減っていた。多くの敵を巻き込める位置について、奥義を使ったみたい。
そして、残りの敵は、すごい速度で走っているガーディによって、喉元を食いちぎられた。
「ソル! 大丈夫!?」
敵が全滅したのを見てから、倒れているであろうソルの元に向かう。
「ルナちゃん、大丈夫だよ」
ソルは、その場に座って力なく手を振っていた。奥義を使った反動だ。
「一応、ここに来た敵は全滅させたな」
「これで、終わるといいんだけど」
ジークとエラがそう話していた。その時、イベントの始まりと同じ、熊の着ぐるみが空に映し出された。
『プレイヤー諸君。イベントへの参加、改めて感謝する。今回のイベントの優勝パーティーが決まった。優勝パーティーには、後日、特典武具、あるいはユニークスキルを進呈する。それぞれのプレイヤーが、どれをもらうかは分からないが、現在のスキル構成を考慮したものとなる。是非、活用して欲しい。では、これにて、パーティー戦イベントを終える。次のイベントにも、参加してほしい。では、失礼する』
そう言うと、熊の着ぐるみは消え去った。そして、私達を転移の光が包み込む。そして、光が収まると、そこはユートリアの噴水広場だった。
「う~ん。優勝出来て良かったね」
私は身体を伸ばしながらそう言った。
「そうだね。最後に技がきちんと決まって良かったよ」
「プティとガーディも頑張ったしね」
ソルとシエルもニコッと笑って喜んでいる。
「せっかくだから、優勝を祝って打ち上げでもしたいんだけど、この後、リアルで予定があって、戻らなきゃなんだ」
「俺もだ。仕方ない。また今度、出会ったら考えよう」
「そうだね。今日はお疲れ様」
私とソル、シエルは、ジークとエラを見送る。
「じゃあ、私達だけでも打ち上げしようか」
「そうだね」
「それじゃあ、ヘルメスの館に行こう」
シエルの提案に乗って、ヘルメスの館に行こうとすると、いきなり誰かに腕を掴まれた。
「へ? 何?」
そちらを向くと、息を大きく切らしたピンク髪の女の子がいた。
「み、見つけました!」
それは、私が倒した歌姫だった。なんとなくだけど、トラブルの予感……
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