読み始めてすぐ、とあることがやぶへびだと腹が立って、Twitterで探し出してDMで文句言いました。
あのときはごめんなさい。
それくらい序盤から明らかに良かったので、それを殺している気がして、嫌だったんです。
けれど中盤まで読めば、そのことすら逆手に取る展開が来て鼻血吹きました。
それからは正直、痛い話ばかりで読む方も心が血まみれだったのですが、主人公の語りも素晴らしく、戦闘描写にもハラハラして、ラストのたたみ方も鮮やかでした。
この方の文章は、この方にしか書けない哲学があります。
今後絶対に、日本に必要な作家さんです。
ひとつの素晴らしい芸術を見せていただきました、ありがとうございました。
ラブコメカテゴリは草です。
あらすじと注意書き必読です!ネタバレになってる部分ではありますが、これを読んでから挑むのは絶対かと思います。普通のほんわかラブコメ作品として読むとちょっと大変。
平凡な日常の風景からはじまるこの物語。
脳内の言葉もまさにツッコミという感じで、テンポよく楽し気なラブコメ世界が展開されていきますが……。
日常と非日常は表裏一体。鏡の向こうは反転した世界。夢と現実の境目には、薄氷。薄氷の下には狂気。
読んでいるうちに、夢なのか現実なのか曖昧になっていくと同時に、読者は薄氷を踏み抜いて落ちているという。
傷は肉体と心の両方にあり、雨は降り続く。
夜明けは来るのか。
雨はあがるのか。
夢と現実のどちらが残酷なのか。
お互いを思いやる気持ちだけが、まっすぐと道を照らし、揺らがない。
どんな世界でも、笑い合おうとする少年少女の瞳に光は残るのか。
これ以上の先は見たくない、だけど結末も知りたい、そんな中毒性を持つ作品です。