第13話 登場、古田姉!
翌日の放課後、古田姉が茶室にやってきた。
古田姉:「失礼します。古田といいます。茶室で撮影会をすると聞いてやってきました。」
牧村:「ようこそいらっしゃいました。古田さんですね。どうぞこちらに座ってください。」
古田姉:「はい、失礼します。」
古田姉は、私達8人に囲まれながら、お菓子と抹茶を飲み、撮影会を楽しんでいた。
牧村:「どうですか?よければ、千利休の逸話でも聞きませんか?」
古田姉:「千利休?誰ですかそれは?」
私達8人は顔を見合わせ、笑顔になった。
牧村:「もし知らないのなら、ぜひ聞いていってください。利子さん、お願いします。」
私:「はい。ではお姉さん、千利休の三献茶の逸話を話します。」
古田姉は、真剣に聞き入り、そんな話があるのかと感心していた。
私:「それで利休は、おもてなしの心を知ることができたのでした。」
古田姉:「おもてなしの心と言うのはどういうものなのですか?」
私:「相手の事を思って、今できる最高の事をしてあげると、主人とお客さんが一体となる楽しい時間が過ごせるんです。」
牧村:「古田さん、今、楽しいと思わない。これがおもてなしなの。」
古田姉:「楽しい、楽しいわ。こんな気持ち、初めてかもしれない。」
私:「古田さん、もし今後も利休の逸話を聞きたくなったら、いつでも話しますよ。おもてなしの心を伝える為に。」
古田姉は、急に真剣な表情になった。
古田姉:「どうして、そんなに一生懸命なの?」
高山:「古田先輩、最近、ギスギスした世界になって来たと思いませんか?それは、千利休という人物が伝えようとした、おもてなしの心が失われつつあるせいなんです。」
古田姉:「なぜ失われつつあるのかしら?」
高山:「物欲を満たすことで、幸せになろうという考え方のせいです。物欲を満たすこと自体は否定しません。でも、こだわり過ぎると、おもてなしの心が失われていきます。私達はこの状況に危機感を持っています。だから一生懸命、利休の逸話を広めようとしているのです。」
古田姉:「もしかして、ここは利休派の集まりなのかしら?私を織部ズムと知って、呼び出したのね!」
私:「古田先輩、おもてなしの心はどうでしたか?楽しい時間は過ごせましたか?私達はお茶とお菓子を出しました。でもそれ以上に、一生懸命、古田先輩をおもてなししたつもりです。」
古田妹:「お姉ちゃん、昔の優しかったお姉ちゃんに戻って。心を取り戻して!」
古田姉:「どうすれば良いかわからない。何をすれば良いかわからない。」
牧村:「まずは茶道部に入りませんか?茶道部は毎日やっています。お菓子を食べて、お茶を飲んで、利休の逸話を聞いて、おもてなしの心を思い出す。妹さんは待っていますよ。」
古田姉:「織部ズムは、私も疑問だった。だって、桜の枝が親切心の象徴なわけがないもの。あれは、母が思い付きで言っただけの話。捏造なの。」
古田姉は、次々に捏造話をし始めた。私達はびっくりしながら話を聞いた。
茶道部員も全員その話を聞いていた。
私:「古田先輩、ご両親を織部ズムから救うため、利休派になりませんか?一緒におもてなしの心を伝えましょう。」
古田姉:「利子さん。そうね、その方が良いのかも。わかりました。利休派になって親を説得します。」
古田妹:「お姉ちゃん、大好き!」
私:「やったね、みんな!」
そして、全員で拍手をして解散となった。
◆◆◆
現在の利子の特殊能力
・逸話の伝道師・初級
・茶道は不得手
・みんなのリーダー・初級
・利休派への勧誘力・初級(☆LVUP↑)
現在の牧村の特殊能力
・茶道の資格・中級
・茶道部への勧誘力・中級(☆LVUP↑)
現在の古田の特殊能力
・利子先輩への愛・超上級
・姉への愛・中級(☆LVUP↑)
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