第14話 落ち葉の風情

織部ズムとの戦いに備え、私は高山さんと新しい逸話を仕入れに事務所へ向かった。


長官は出かけて留守だったが、秘書が私達に新しい逸話を話してくれた。


秘書:「利休が茶道を覚えたての頃、茶道の先生が、塵一つない庭の片付けを、利休に指示したの。既に掃除されているので、何もしなくても良いのだけれど、利休は木を揺らして葉を落とし、趣のある庭にしたそうよ。」


私:「趣のある庭にすると、何か良いことがあるの。」


秘書:「利休派はおもてなしの心を大切にしているわ。だから自然の美しさを顧みるゆとりを持ってもらうというのも、その心に叶うことなの。」


私が感心していると、高山さんが難しい質問をした。


高山:「趣のある庭というのは、具体的にはどんな庭なんですか?」


秘書:「利休は、西行法師の和歌を引用して具体例を出しているわ。

 

 かしの 紅葉もみじぬからに ちりつもる 奥山寺おくやまでらの 道のさびしさ。


これは、樫の葉が紅葉こうようし、自然のまま散り積もっている、この奥山寺の参道は、なんと寂しいことであろうという意味ね。」


私は、和歌を覚えるのは難しいと思った。


私:「和歌は覚えきれない。どうしよう高山さん。」


高山:「メモ用紙に書いておけば良いのよ。」


私:「なるほど!」


秘書:「じゃあ、メモ用紙に和歌を書いてあげるわね。」


私:「ありがとうございます。」


私達は新しい逸話『落ち葉の風情』を手に入れた。


高山:「さあ、いよいよ古田さんの家に乗り込むわよ!」


私:「うん、行こう、古田さんの家へ。でも、みんなも誘おうね。」


高山:「・・・そうね。」


◆◆◆


現在の利子の特殊能力

 ・逸話の伝道師・初級(☆LVUP↑)

  『丿貫の落とし穴』『三献茶』『落ち葉の風情』

 ・茶道は不得手

 ・みんなのリーダー・初級

 ・利休派への勧誘力・初級

現在の高山の特殊能力

 ・説得力・中級

 ・燃え方・上級

 ・作戦参謀・初級

 ・メモの使い手・初級(☆LVUP↑)

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