第5話 最初の友達・蒲生さん

クラスで浮き始めた私は、隣のクラスに新しい友人を作ることにした。


私:「そういえば、隣のクラスには、近所に住んでいる蒲生さんがいたはず。」


私は、放課後、隣のクラスに入り、蒲生さんに話しかけてみた。


私:「久しぶり蒲生さん、今日、一緒に帰らない。」


蒲生:「久しぶりね、利子ちゃん。昔はよく遊んだのに、クラスが変わってから全然だったもんね。」


私は帰り道、蒲生さんに三献茶の話をした。


私:「そしてね、三回にお茶を分けることで、利休は心を打たれたの。」


蒲生:「すごいね。でもなんで心を打たれたの?」


私:「なぜだろう。ねえ、一緒に逸話の疑問を聞きに行ってみない。」


蒲生:「どこへ。」


私:「今、利休の逸話を教えてくれる教室に通っているの。よかったら蒲生さんも来てみない?」


蒲生:「面白そう、行ってみる。」


二人は早速、長官と秘書のいる新事務所へ行った。


私:「友達を連れてきました。」


蒲生:「初めまして、蒲生といいます。利子ちゃんに三献茶の話を聞いて、やってきました。」


私:「実は、なぜ利休が心を打たれたのか、理由が知りたくて聞きにきました。」


長官:「初めまして蒲生さん、そしてお疲れ様、利子さん。利休が心を打たれた理由、それはおもてなしの心だよ。」


蒲生:「おもてなしの心?」


秘書:「相手を思いやり、今できる最大限の事を実行してあげる。これがおもてなしの心。利休は、そのおもてなしの心を感じ取ることができて、心を打たれたのよ。」


私:「そうなんだ。蒲生さん、わかった?」


蒲生:「うん。それにしても、すごいね、この教室。」


長官:「教室?」


私:「利休の逸話を教えてくれる教室に通っていると言って、蒲生さんを連れて来たの。」


蒲生:「違うの、利子ちゃん?」


私:「ごめんなさい蒲生さん。ここは、利休の逸話を語り継ぐために組織された、利休派の事務所。その本部なの。もし蒲生さんが嫌でなければ、利休が後世に伝えた逸話を、一緒に学んでいかない。」


蒲生:「どうしようかな・・・」


秘書:「蒲生さん、おもてなしの心は、日本人が本来の持っている心だったの。でも今は失われつつある。相手をののしり合い、親子でも殺し合う時代。これは利休が伝えたおもてなしの心が失われつつある証拠なの。なんとかしたいと思わない。」


蒲生:「なんとかできるんですか!」


長官:「できる。利休の逸話を、多くの人に伝えられれば、必ずできる。」


私:「蒲生さん、友達に、おもてなしの心を一緒に伝えていこうよ。」


蒲生:「私、やってみる。」


私:「わ~い。蒲生さん大好き!」


蒲生さんが仲間になった。


◆◆◆


現在の蒲生の特殊能力

 ・なし

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る