第76話 悪魔の影響を受けない転生者の共通点
「そういえば中で何を話してたの?」
アリサの質問に対し、琢磨はチラッとシエラの方を見る。
シエラは何? と言うように首をコテンと傾けている。視線を戻した琢磨は、
「・・・・・・ちょっとな」
と応えてティードリッドと話していた時の事を思い出す。
「お、お前はまさか・・・・・・ラファエル!?」
琢磨がそう思ったのは無理がない。
見た目がそっくりなのだ。転生する前に天界で会ったあの天使に――――
「驚かせてしまいましたか? これが私の正体です」
琢磨はティードリッドの姿を見て固まっていたが、ティードリッドが持つ
「――――どういう事だ。なんであの天使、ラファエルの姿と瓜二つなんだ?」
琢磨の疑問に対し、ティードリッドは人差し指を口元に当てるとウインクして
「簡単です。私が本物だからです」
と、淡々と答えた。
「じゃぁ、俺が天界であった奴は何だ?」
「あれは、悪魔です」
「あ・く・ま・・・・・・あれが?」
ティードリッドは一から説明する。
「琢磨さんは天界はご存じですね?」
「ああ、俺が死んだときに行ったあの空間のことだろ?」
「はい、そうです。実際にはあの空間の外には町があり天使は平和に暮らしてます。いや、いました」
「いました? 何で過去形なんだ?」
琢磨の質問にティードリッドが錫杖を握っている手に力がこもる。
「――――それはもう、天界が存在しないからです。滅ぼされたのです。悪魔によって!!」
「!? 俺が転生するときはあったぞ。話から察するに俺が転生するよりずっと前なんだろ?」
「ああ、言い方が悪かったですね。天界そのものはあるのですが、そこに住む天使がもういないのです。私以外はみんな滅ぼされました。そして、今は悪魔が天使のふりをして次々と死んだ人間を転生者として送り続けています」
「何で、そんなことを?」
「それは、あらゆる世界を我が物にしようとするためです。そして、悪魔の大好物は負の感情です。転生者にはなにがしらの
ティードリッドは一息ついた。琢磨は話が切れたところで聞いた。
「転生者に誰も勝てないんじゃお手上げじゃないか?」
「そうでもありません。この世界の人では勝てないと言っただけで方法はあります。転生者には転生者をぶっつければいいのです」
「どういうことだ? 転生者は悪魔に利用されてるんだろ?」
「それなら琢磨さんも悪魔側ってことになっちゃいますよ?」
「それはそうだが・・・・・・」
「一つ一つ説明しましょう」
ティードリッドは右手を広げて出すと親指を曲げる。
「まず一つ目、転生者の中には悪魔の影響を受けない者がいることが分かったのです。しかも奇妙な共通点があったのです」
「共通点!?」
「見に覚えはありませんか。私が最後に転生させた颯人もそうだったのですが、前世でおかしな死に方をしているのです」
琢磨は自分が死んだときのことを思い出す。あの時は空からゲーム機が降ってきて、それが頭にあたって・・・・・・確かにおかしな死に方だ。これで死んだと思うと、とても恥ずかしい。思い出したらムカムカしてきた。今度ガブリエルに会ったらただじゃおかないと再び誓うのだった。
「思い出したようですね。では二つ目、それらの死因にはガブリエルが絡んでいます」
「まさか、意図的だったというのか」
琢磨の怒りのボルゲージが上がる。
「ガブリエルにその認識がないでしょう。それにドジな所はあるので
「彩も転生者だけど大丈夫なのか?」
「大丈夫です。悪魔の影響は受けてないはずです。死因については本人に直接聞いてください。私の口から何とも――――」
彩も俺と同じ境遇だったのか。アイツは自分の死因にガブリエルが関わってるって知ってるんだろうか。でも彩のことだ。逆にこのファンタジー世界に来たことを感謝しそうだな。
「分かった。悪魔は遅かれ早かれ俺の前に立ちはだかるはずだ。颯人の意思を継いだ俺が邪魔のはずだからな。その時に助けられそうなら助ける。でも、仲間がピンチな時は仲間を助けることを優先するがそれで構わないな?」
「はい、それで構いません。私はもうしばらく情報を集めてみます。向こうはガブリエル以外天使の生き残りがいないと思っるはずです。そこに付け入るスキがある。ガブリエルが覚醒する前に――――」
ガブリエルの覚醒? いま気にしてもしょうがないか。どうせ今は答えてくれないだろうし。
琢磨たちのこれからの行動方針が決まった。
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