第70話 耳飾りのすごすぎる性能

 それにしても思いかけない収穫はあった。まさか、ラファエル自身が俺を探している。これから、ますます警戒した方が良さそうだ。それにしてもやはり、俺の冒険者カードか何かに発信機がとりつかれていたらしいな。反応が消えたとはそういうことだろう。あの時、颯斗が言ったように冒険者カードを新しく作り直してよかった。あれには、人の精神をどんどん侵食していって気づいたら天界の操り人形となってたらしいからな。天界からしたらその操り人形が一体忽然こつぜんと消えたんだ。気になって調べに来たところか。公には俺は死んだことになってるらしいからいつまで誤魔化せるか。姿が変わってることも幸いしてくれたらいいが・・・・・・これは、シエラが俺の名前を呼ぶまで店主が分からなかったことで実証済みと言いたいが、あの時初めて会った人とずっと一緒に行動してた人では違うだろう。現にアリサはすぐに俺だと分かってたようらしな。こればかしはガブリエルや彩に出会わなければわからない。なるようになるだろう。

 シエラが琢磨の前でぴょんぴょん跳ねるように歩いている。それに合わせて揺れている兎人族の耳飾りに目を奪われて手を伸ばす。


「ひっ・・・・・・んっ、・・・・・・タクマ~」


 モミモミして触感を確かめてるとシエラが喘いで吐息を漏らしている。


「ど、どうしたんだ」


 琢磨が手を放すとシエラが膝をつき、ぜぇ~ぜぇ~と息を切らせながら琢磨を涙目で見てくる。その姿に胸の奥がきゅ~んとする。そして、この場所はちょうど広場の噴水付近。通行人が多い。そんな通行人の中に琢磨と同じようにシエラを見てあまりの可愛さに倒れる人が続出という謎の珍事件が起こる。騒ぎが大きくなる前にシエラを抱えて人気のない裏道まで猛スピードで突き抜けた。シルフィーとアリサがぽか~んとしていたが気にしてる暇はない。


 琢磨は大通りの方を観察して誰もいないことを確認してからシエラを下ろした。


「シエラ、大丈夫か?」

「・・・・・・タクマのエッチ」


 シエラが涙目で睨んでくる。琢磨はわけがわからず狼狽うろたえるしかなかった。


「その耳飾りを触っただけで何でエッチなんだ。シエラだって触ってほしかったんだろ?」

「・・・・・・そうなんだけど違うの。琢磨に触られた感触がダイレクトに体に伝わってくる。まるで本物の耳を触られたみたいに・・・・・・しかも、琢磨の触り方が気持ちよすぎて我慢できずに思わず声が――――あっ!」


 シエラが口に出すつもりがないことを言ってしまったように慌てて口を押さえたが琢磨はバッチリ聞いてしまった。


「・・・・・・ようするに、いきなり快楽が押し寄せてきて我慢できなかったと」


 シエラは恥ずかしそうに頷いた。耳まで真っ赤だ。あの店主、なんてものを売りつけたんだ。


「それは公の場所では付けない方がいいな」

「・・・・・・せっかくタクマに買ってもらったのに・・・・・・」


 シエラは残念そうに外したら琢磨の耳元で「二人っきりの時はつけるね」と言われ、今度は琢磨の顔が真っ赤だった。

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