第4話 ごめんね

「チリン」


 恐くて目をぎゅっとつむっていたコロは、赤い首輪の鈴の音に気付き、そっと目を開いた。


 温かい。


 結衣が両手で優しく包み込むかのように、コロを胸の上で抱きかかえていた。涙目で少し可笑しそうに、コロを見つめる。


「急に立ち上がったらダメでしょ、コロ」


 結衣はそう言いながらコロの頭を優しく撫でる。


 コロの気持ちがほっと、落ち着こうとした時だった。


 コロの鼓動が早くなる。


 ご主人の手には、赤い首輪が握られていた。思わず、鼻頭を赤い首輪に近づけた。

 すると、それに気づいた結衣は、コロに、赤い首輪を差し出した。


 目を丸くするコロ。そのままゆっくり口を開き、赤い首輪を、咥えた。


「ごめんね」


 結衣が、コロをきゅっと、抱きしめる。コロは急な事にどうしたらいいか分からなかった。そのまま、ご主人に身を任せる。


「ごめんね、コロ。ごめんね……、ナナ。ごめんね……、ごめんね……」


 結衣はそのまま、赤い首輪を咥えたコロを、ギュッと抱きしめる。


「クウ~ン」


 コロが穏やかな唸り声をあげると、


「チリン」

 

 と赤い首輪の鈴が、小さく優し気な音を奏でた。

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