第4話 衝撃の初デート
僕は今日、人生で初めて女の子とデートをする。
ななみさんとの約束は13時だけど、12時半にはもう着いてしまった。
デートに着ていくおしゃれな服なんて持っていないから、結局いつも着ているパーカーにジーンズになってしまった。
今更だけど、自分の身なりが気になり始める。
やっぱりもう少しデートっぽい服にするべきだっかな。ワックスとかを付けておくべきだったかな……。
携帯の画面を鏡代わりにあれこれと思案していると、急に周りが暗がりになる。
「あの……もしかして、たくみさん、ですか? 私、ななみですけど……」
「あっ、はい。たくみで――って……えっ⁉」
「も、もしかして……ななみさんって……三浦さんのことだったの…‥?」
「……っ⁉ あ、あなたは……あ、綾瀬くん⁉」
顔を上げると、そこにはななみさんが立っていた。それも、僕がよく知っている同じクラスの三浦七海さんが。
時が止まったように僕と三浦さんの動きがピタッと止まる。
びっくりし過ぎて思考が追いつかない。
僕みたいな平凡な人が出会いを求めてすると思っていたのに……。
そんな……普通にしていれば彼氏の一人や二人くらいすぐにできそうなくらい整った容姿をしているのに、どうしてマッチングアプリなんて……。
「――と、とにかく! せっかく約束したんだから、今日は付き合ってあげる!」
三浦さんは少し語調を強めながら、歩き始めてしまった。
はぁ……。これって絶対嫌に思われてるよね……。
顔を赤くしてあんなこと言われたらちょっとへこむな……。
「――あ、綾瀬くん!? ほらっ、早く行くよっ!」
「あっ、は、はい……」
三浦さんが呼んでいる。僕は少し戸惑いながらも彼女の方に歩き出した。
「――あ、あの……三浦さん」
「何?」
「そ、その……どこに行くの?」
「お昼。少し遅いけど。だから良さげなところを探してるんだけど」
「そ、それなら……僕ここのレストラン予約したんだけど……」
僕は携帯の予約済み画面を三浦さんに見せる。
すると、三浦さんの表情が一変した。
「――えっ⁉ 嘘っ⁉ このお店……私が前から気になってたところじゃん! それを……綾瀬くんが?」
「う、うん……。お昼時だから、喜んでくれるかなって思って……」
「そ、そうなんだ……あ、ありがと……」
「えっ……あっ……う、うん」
何だろう。今の三浦さんは教室で見るいつもの彼女とは全くの別人みたいだ。
いつもはどっちかというと周りに対してツンツンと尖った針を投げつけるような、そんな感じ。
でも、今日の三浦さんは色々なを僕に見せてくれる。
――ビックリしたような顔。
――少し素直な口調。
いつもの教室では見ることない三浦さんの言動の一つ一つに、僕は自分の胸が少し高鳴り始めるのを感じた。
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