創造神の異世界冒険録

Leiren Storathijs

プロローグ

 俺は創造と破壊の神、カオス。混沌を司る神と言っても良いが、混沌を作るだけに混沌を操る事は出来ない。


 俺は神界と呼ぶ神々が集う世界に置いて、最高位の座を持つが、これと言って万能と言う訳ではない。最高位でも権限と誓約が決められており、それを破る又は、超えた行動を起こすと、俺でさえも最高位の座を剥奪される。


 逆に何が権限や誓約を決めているのかというと、それぞれの神自身が決める事になっている。自身の座と力から権限を指定し、厳しい誓約で自身を縛る。


 これは、神界における全体のルールであり、これによって無数に存在する世界は、環境のあらゆる均衡を保っている。もし此処に誓約を破る神が現れたとなれば、たちまち世界の環境が崩壊し、生命が住う事が出来なくなる世界に変貌する。


 また、神自身が指定する権限と制約は『神の座』が判定し、相応の力に対する誓約が甘過ぎると神の座は、その神を神と認めず、力を発揮出来なくさせる。


 因みに俺の権限と誓約は、あらゆる物質や地形、生命の想像とそれを破壊できる権限があるが、という誓約がある。


 世界を破壊すれば、もれなく人類は死滅するが、それとこれは別の話で、直接手を掛けてはならないという意味で誓約が結ばれている。神に反する人間が居ようとも罰する事は出来ても決して殺してはならない。そういう誓約だ。


 俺はある日、気まぐれに作った小世界を整理する為に、一斉に小世界と呼ぶ未完成の世界を破棄する事を決めた。


 今まで創造した小世界は、数千万。作っては没入り、作っては没入りを繰り返し、俺が管理する大宇宙には気づけば数え切れない程の小世界を浮かべていた。


 これは一つ一つ破壊しては時間の無駄。俺は、一斉に破壊する為に、力の半分を使って巨大なブラックホールを創造した。


 ブラックホールは超強烈な磁場を作り出し、周囲の小世界を次々と吸い込み、跡形もなく消滅させる。此処にある全ての小世界は、俺にとっての『失敗作』。今更全てが消えようとも後悔はしない。


 そう小さな世界が、遠目で見れば星々が消えて行く光景を見ていると、突然俺の視界は暗転した。


 凄まじく短い時間で世界か消滅したという訳では無い。上下左右見ても俺の四肢すら見えず、簡単に言えば気を失ったという感覚に近いか。


 そして次に視界か開けると俺は、何故か地上に立っていた。青い空に、見渡す限りたた広い草原。俺はあまりにも突然の出来事に唖然とする。一体何が起きた?

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