第35話:下村の検診へ付き添い1
その後、万が一のことを考えて、がん研有明病院健診センターで最初に、がんの有無を調べて、次に、心臓と脳の専門の検査センターへ言ったらと奨めた。すると、最初に、全体を調べてから、どこを集中的に調べるべきか決めたいと言った。
そのため調査すると健保組合の標準検査に男性の高齢者は、血液、尿、生化学的検査、肺機能、眼底検査と超音波検査を追加して12000円でやってくれると伝えると予約してくれないと言われ、宮入が引き受けた。料金が安いので混んでいて最短で5月9日、予約となった。
その結果を連絡すると、1人では不安だから一緒に行ってくれないと言われ、了解した。もちろん無料というわけにはいかないから、付添料1万円を支払うよと笑いながら言った。お前は、何でも、金だなと笑いながら、宮入が、言った。
俺には、1人では、できないからなと、寂しそうに言い、女房が生きていたときは、全部、お任せだったと言い、昔を思い出したのか、目頭を熱くしていた。その後、宮入が、泉堂さんにも連絡すると、わかった、私も一緒に行ってあげると言ってくれた。
しかし、これは、秘密にしていた。やがて、桜が満開になり、泉堂さんの家の近くの多摩ニュータウンの桜の名所に、花見に仲間4人で出かけた。この日は、下村も元気で、明るく、冗談を言ったりして上機嫌だった。下村の検診の事は、話題にしなかった。
花見を終えて数日後の4月14日、21時26分、熊本県を震源とする地震が発生。隣町の益城町で震度7を観測。マグニチュードは6.5で、震度7と言う巨大地震だった。その後も連続して続く群発型地震であった。熊本城が壊れる様子がテレビに映りやるせない気持ちになった。
その後、5月の連休を終え。2016年5月9日、朝8時に、橋本駅近くのカフェに、宮下が行くと下村が、既に来ていて、モーニングセットを食べていた。宮入が行くと、悪いなと言った。数分後、打ち合わせ通り、少し遅れて泉堂さんが着くと驚いて下村が、どうしたの思わず聞いた。
これに対して、大事な、私たち仲間のパトロンが、検診に行くと聞いて、駆けつけたのよと笑いながら言った。そうか、嬉しいなと言いながら、少し顔を赤らめていた。食事は、と聞くと、私たちは、朝早いから食べたよと、宮入が言い店を出て、京王線特急で新宿の検診センターへ9時過ぎに到着。
受付を済ませて、終了したら電話してくれと宮入が言い残し、検診センターを出た。その後、どうすると、宮入が泉堂さんに聞くと、新宿御苑を散歩して、昼食を取って、新宿のデパートにつき合って下さると泉堂さんが言うので、喜んでと答えると白々しいわねと笑った。
徒歩で10分足らずで、新宿御苑の新宿門から中に入った。桜が、散って、新緑の季節が始まっていた。その中を2人で歩いていると、気持ちは、中学時代にタイムスリップしたかのように新鮮な気持ちになった。すると、泉堂さんが宮入君、中学時代、女生徒に人気あったのよと告げた。
何だよ、藪から棒にと言い、気がついていなかったのと聞くので、それどころじゃないよ、高校受験の事で頭がいっぱいだったよと笑いながら言った。そうよね、いつも、難しそうな顔していて、取っつきにくかったわと思い出すように、話した。
実はね、もう時効だから、話すけど、私と、宮沢さんと山野さんが、宮入君の事を好きだったのよと言った。まさか、クラスきっての洋風美女の泉堂さんと和風美女の山野さんが、好きだったなんて、全く知らなかったよと、嬉しそうな顔で答えるとまんざらでのなかった見ないねと笑った。
もちろん、その時に言ってもらえば、人生変わったかもしれないよと、言い返すと、人間て、人の気持ちがわからないから面白いのかもねと、遠くを見るような目で冷静に話した。山野さんも宮沢さんも私も、結局、故郷の長野県、辰野から遠く離れた所で暮らし別々の人生を過ごした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます