第32話:下村の朝寝坊
「宮入は、下村を、ほっておく訳には、いかないと語った」
「優しく、賢く気を遣う男が、もてるのは、当たり前よねと告げた」
「おだてたって、金持ちでもないから何も出ないぞと笑った」
「男は、やっぱり、たたき上げよね」
「エリートは、人生の荒波に飲まれ自殺したり弱い人が多いと続けた」
「何か、苦い思い出でも、ありそうだねと聞いた」
「泉堂さんがすすき野のクラブでママを張った時、多くの男達が、通り過ぎていったわと静かに言った」
「その話、飲みながらゆっくり聞きたいねと、宮入が伝えた」
「お望みなら、お酒に誘ってと笑顔で話した」
「これを聞いていた吉沢が、泉堂さんみたいに色気と曲線美がない」
「だから、そんなすごい男と出会えなかったと話した」
吉沢は続けて、伊豆の下田に社員旅行へ行った時、知り合った気の弱い田舎の料亭の息子と結婚して苦労させれたわと静かに言った。
「今度、4人で、じっくり、そんな話をしたいねと宮入が言った」
「泉堂が、是非、そんな機会を持ちたいわねと言った。
「でも過去を変えることはできない」
「確かにそうだ、人生、いつ何時、どうなるかなんて、全くわからない」
「だから、良い人生かだったかどうかは、死ぬ間際にしかわからない」
「主観的に良いと思うのと客観的に良いと思うのも違うと言った」
「もう少しわかりやすく言ってよと吉沢さんが告げた」。
「過去が華やかでも本人が良いかどうかと、他人が、どう思うかは違う」
「どっちが良いかと言えば、もちろん、自分が最高の人生だと」
「それが最高だと説明すると、そうよねと女性達が口をそろえて言った」
「この話を続けていると泉堂さんが、悲しそうな顔になった」
「やがて涙目になっているのを見て宮入が、気遣った」
「近いうちに飲み会を企画しようと言うと、是非、お願いと言った」
「実は、東京に長い、宮入さんが一番、頼りになると吉沢さんが告げた」
こんな話をしていると、そろそろ引き返そうというと、吉沢さんが、私もう疲れて歩きたくないと言ったので、わかったと言い、すぐ先の豪華ホテルに入った。そこは、ウェスティンホテルだった。フロントへ行き、宮入が、英語でフロントの女性と話していた。
戻ってくると、タクシーを呼んでもらったので少ししたら来るはずと言った。もう5キロも歩いたらしいぞと、言うと、道理で疲れたはずよと、泉堂さんが、笑った。その後、ウェスティンホテルからタクシーでヒルトンホテルまで10分程で到着した。時計を見ると7時過ぎだった。
喉渇いただろうと言い、カフェに行き、珈琲、紅茶を飲んだ。8時頃、解散し、女性達は、部屋に帰った。宮入は、部屋に入り、持参した文庫本の小説を持って、寝ている下村を起こさない様に、部屋を出て、ホテルのロビーのソファーで、小説を読み始めた。
しばらくして、9時半頃、女性たちが、ロビーにやって来て、まだ、下村君は、起きないのと泉堂さんが、言い、意を決したように、フロントの電話へ行き、電話と掛けた。そして、戻ってきて、お寝坊さんの下村君を起こしたから、すぐ来るでしょうと言った。
15分位して、下村君が、来て、待たして、悪いねと軽く言った。それを聞いて年をとると、朝寝てられなく、早起きになると言いますが、あなたは違うのねと、嫌みたっぷり、泉堂さんが言った。ごめん、朝弱くてねと、言い、朝食、食べてきたらと言われた。
いつも、ブランチが、多いと答えると、泉堂さんが、朝弱い男は、もてないわよと、厳しい口調で言った。そんなに怒るなよと言って、でも、怒った顔も可愛いけどねと言うと、あなたには言われたくないわと、言い返した。それも見て、喧嘩するなよと言い、宮入が仲裁した。
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