第14話:高遠への小旅行と昔の思い出

 その後、高遠傍の店に行き、地元のそば粉を使ったそばを楽しんだ。高遠しんわの丘・ローズガーデンと近くの花の公園を見学。春のバラの満開の時期は、既に終わり遅咲きの品種のバラがきれいに咲いていた。


 一方、ローズガーデンでは、駐車場の前からシャトルバスが出ていてバラ園の前で下ろしてくれた。入り口から急な上り坂で高齢者には厳しいのでシャトルバスを出していた。その後、満開の深紅やピンクのバラが、満開でだった。


 バラ園の向こうに南アルプスの山陰がくっきり見える。ここは、この天竜川沿いの左に南アルプス、右に中央アルプスに挟まれている素晴らしい場所だった。14時近くにバラ園を出て、帰り道、ちょっと寄り道し高遠湖を眺めた。


 この湖は、三峯川をせき止めてつくった人造湖。少し言ったところ簡易駐車場があり、歩いて、三峯川に架かる橋に徒歩で行き、橋から見える高遠湖とその間裸子の山々の景色を写真に収めてきた。


 高遠を後にして辰野のレンタカー屋に16時に到着。下村の家まで送ってもらった。その後、仮眠し風呂に入り夕食を取った。18時過ぎ、辰野ほたる祭りに出かけた。徒歩15分で松尾峡に着く。


 そこからホタルが乱舞し、暗闇に光を放つ、幻想的な景色を見ながら天竜川をゆっくりと下って行った。しばらくして、辰野ほたる童謡公園へついて、ベンチに座った。すると昨晩、一緒に酒を飲んだ仲間達と吉沢恵子さんが来ていた。


 なんだ、下村君が、宮入も、ほたるの祭りを見に来たのかと言った。宮入が、懐かしいでも、やっぱり、ほたるの光って、心癒やされるなとしみじみと言った。その後、まだ早いから、もし、飲みに行ける人は、一緒に行かないかと声をかけた。


 すると、下村君、佐島さん、見城さん、藤井君と吉沢さんが行くと言った。すると、下村が、スマホで佐藤君の店に電話した。電話を終えると、まだ、空いてると言うので、歩いて10分で、佐藤君の居酒屋に到着。


 宮入は、吉沢恵子さんは、中学時代の一時期、つきあっていた仲なので、良く覚えいていた。佐藤君の店に着いて、ビールで、まず乾杯。そして宮入が吉沢さんに久しぶりと挨拶すると、こちらこそ、ご無沙汰していますと言い、お元気と聞いたので思わず元気ではないと答えた。


 すると下村君が、宮入の奥さんが、最近亡くなって、その傷心旅行で、故郷の辰野に帰ってきたのだと説明した。それは、ごめんなさい。知らなくてと言うと気にしなくて良いよと話した。そして、宮入が、信州って素晴らしい所だなと語った。


 今日は、高遠城址公園とバラ園を見学してきたと言い、高遠そばも旨かったし、バラとその向こうの南アルプスも最高だと話した。そうか、地元から出ないと、わからないかもしれないねと佐島さんが言った。


 宮入君、中学時代、確か吉沢さんと一時期、つきあっていたよねと鋭いつっこっみを入れた。女性は、忘れて欲しい事でも、すぐ思い出すねと苦笑いした。そうですと宮入が言うと吉沢さんが、あの頃は、楽しかったわねと言うと、ざわついた。


 何かあったのと突っ込まれると、ないわよと答えた。宮入が、吉沢さんとうちの家が近いので中学の通学の時、よく一緒に帰ったので、できてるとか、あらぬ噂が立った。その噂に、最初は、困っていたが、なれると、公認されてるみたいなった。


 そして、気軽にデートできるようになり、塩尻、松本、岡谷、諏訪にも出かけたと当時を思い出す様に、吉沢さんが、うっとりしたような顔になると、うらやましいわと見城さんが言った。


 でも中学3年の時、急に、お父さんの仕事で転勤になり名古屋の方に引っ越したよねと言った。そうなの、みんなと仲良くなれたのに本当に残念だったわと当時を振り返った。でも父がその後も転勤して会社で出世して、最後、大阪の支店長になった。


 そのお陰で大学を出してもらえ比較的、優雅な生活ができたわと言い、亡き、父には、お世話になったと話した。その後、母が、都会生活が嫌だと言い、また10年前、生まれ故郷、辰野に帰って来たと告げた。すると大阪に未練はなかったのと聞かれ、ないことはないと答えた。

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