第12話:宮入の旧友との歓談

「しかし、手術後、1回に大量の食事を消化できないので、食事の回数を増やす指示を受けた」

「その後、2013年の春から体調が悪化」

「再度、がんセンター病院に検査入院すると肝臓へのがん転移がわかった」

「手術しますかと聞かれ、女房が先生と手術後の予想、5年生存率などを聞いた」


「それを聞いて沙織さんを手術をしないと決めた」

「そして、自宅で、ゆっくりと寿命を全うしたいと宣言」

「しかし、それを聞いて、宮入は、奥さんに隠れて泣いた」

「2013年4月、八王子の桜の名所へ行き満開の桜を見た」

「桜を見ながら、女房が、これで、この世に思い残す事はありませんとつぶやいた」


「4月22日、沙織さんが急変して11時過ぎに、自宅で亡くなった」

「女は、いざとなると、本当に強いと痛感したと述べた」

「見城さんが、それは、お気の毒にと言い、目頭を押さえた」

「でも、こんな優しい旦那さんに看取られて、奥さんは、さぞ幸せな人生だったでしょうと語った」。


「暗い話は、この位で、やめようと宮入が言った」

「すると、藤井が、泉堂さんと山野さんの話に話題を変えた」

「2人の事、覚えてると聞くと、知らないと答えた」

「俺って女性にもてるタイプじゃないけど話しやすいタイプらしい」

「そのため、その後も情報をもらっていたと話し始めた」


「最初に山野さんが芸能界に入り女優デビューした」

「しかし、競争に負け芸能界を引退しプロデューサーと結婚」

「その後、離婚。泉堂さんは、札幌で水商売してると語った」

「何で、そんな事知ってるとの佐島さんが聞いた」

「学校時代から悩み事があると親身になって聞いてやった」

「そのため困った事があるとすぐ電話してくると説明」


「なんだか佐島君て芸能レポーターみたいね」

「そういえば少し太ったので、あの有名な芸能レポーターに似てる」

「そう言えば、どことなく似てるわねと、言われ大笑いとなった」

「宮入君、奥さんを亡くし、再婚する気あるのと見城さんが聞いた」


「まだ、その気にはならないが、人生って、何があるかわからない」

「もし、万が一、素晴らしい人が、現れたとしても、結婚はしない」

「パートナーとして、死ぬまでいるかもしれないと告げた」

「これを聞き女性達から賛否両論が飛び出した」

「その話に、佐島が、話に割り込んだ」

「賢くて自然体の宮入君らしくて良いんじゃないと言った」


「そうよね宮入君のそんなスマートな所が素敵と見城が言った」

「それなら、あんたと、再婚したら良いじゃないと言われた」

「そうね、うちの旦那くたびれてるから毒殺して宮入君と再婚しようかなと話した」

「ちょっと待ってくれよ、俺まで共犯者にしないでくれと言い大笑いとなった」


 その途中で、携帯電話の電話番号を友達どおしで交換した。やがて22時過ぎて解散となり、みんな元気でねと言って帰った。そして、翌日、宮入は八王子へ帰って行った。2013年夏、東日本は、暑く、特に八王子は盆地であり、なおさらだった。


 そのため宮入は、自宅のクーラーの下で本を読んだり音楽を聴いたりして過ごした。やがて秋となり散歩に出かけるようになり涼しい風になり、木枯らしにかわり孤独な冬を迎えた。そして2014年となった。初詣に出かけ妻の冥福を祈り、自分の今後の人生をお守りくださいと願ってきた。


 2014年6月2日、下村君に電話し今年も辰野ほたる祭りに行きたいと連絡すると6月19日から27日と言った。下村が、昨年、両親が老人施設に入り離れが開いてるから無料で使って良いよと言ってくれた。そういう訳に行かないと言うとそれなら1日千円でOKと笑いながら答えた。


 お土産買っていくが何か欲しいかと聞くと虎屋の羊羹が欲しいと言うので了解と答えた。6月19日、朝、7時過ぎに家を出発。7時半の特急あずさ1号に乗り岡谷まで行き25分後の飯田線に乗り換えた。そして10時前に辰野に行き、タクシーで下村君の家に10時過ぎに到着。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る