第16話 子ども悩み相談室
「ここはいつから子ども悩み相談室になったんだろうねぇ。君のお部屋でも無いよね」
目の前の賢者……クリスは、大げさに驚いて見せている。
その割に、お茶菓子とお茶の準備が済んでいるところが……。
「来るの分かってたくせに……」
どうせ、心読まれてる。
私は目の前にある大福を食べ、お茶を飲んだ。しぶっ。
何これ? 渋すぎる。
「このお茶渋いです」
「え~。渋い番茶。甘い大福に合わない? もしかしたら、味覚子ども? って、中身子どもかぁ」
そう言いながら、新しい湯のみにちょっと薄めの番茶を入れてくれた。
「はい、これは渋く無いと思うよ。ところで、僕は『頼るな』って言わなかったっけ? まだ、クラレンスにも会ってないんだろう?」
指摘されて、うっ、てなってしまう。
「だって、怖いんだもの」
なんだか気が抜けてしまっている。この国の一番偉い人なんだから、本当はちゃんとしないといけないハズなのに。キャロルのスキルが働かない。
「聞かないふりをしてあげても良いけど、君の不用意な発言で運命が変わっちゃう人が出てくるから気を付けてね」
「ええっ~」
ビックリした。だって、私なんかの発言でってそんな……。
「立場的にそうだろう? 話す相手が僕で無くても。君は今、権力に一番近いところにいるんだから。たとえば……そう、君のお兄さんとか、本当に聞かないふりをしてくれると思う?」
「なんで知ってるんですか?」
「何で隠せると思うかなぁ。君の言動は、僕には筒抜けなんだけど」
驚いて訊き返したら、そんな返事が返ってきた。
これは、まずいかもしれない。
怖い。怖いけど……。
「もし、兄が聞かないふりをしたことで、何か処罰があるなら……。処罰は、私にしてください」
私はギュッと目を閉じて、クリスに言った。いやだって怖いもん。
「震えながら言うこと? でも、そうだね。いいよ。今回の件で君のお兄さんにくる処罰は君に与える事にするよ。って、言ってる先から後悔しているし。面白すぎるんだけど」
呆れたような感じでクリスは言っているけど。こっちは本当に怖いんだからね。
「人の心、読まないでください」
「まぁ、ねぇ。頭で考えてないで、行動してみたら? ユウキが訊きたい事の答えは、どうせ僕は言わないし。そもそも、この世界の基本的な情報はその体に入っているだろう? 空っぽだったと言っても、王族になるために教育されて、普通に貴族として生活をしていたんだから」
そう言って、クリスも大福を食べだした。お茶は最初にキャロルが飲んでいたものをそのまま飲んでいる。
「やっぱり、このくらいの方が大福の甘味に合う気がするんだけど」
その内、椅子に座ってじゃ無く、二人してちゃぶ台でお茶してそうで怖い。
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