第13話出世の方法
さてと、腹も膨れた僕は立ち上がる。
そして、
「ステータス」
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種族:ゴブリン
位階 : 新兵
状態:通常
Lv :9/15
HP :53/53
MP :19/19
攻撃力:22
防御力:17
魔法力:13
素早さ:16
魔素量:F
特性スキル:[成長率向上][邪神の加護:Lv2]
[仲間を呼ぶ]
耐性スキル:
通常スキル:[罠作成:Lv1][槍術:Lv1][剣術:Lv1]
称号スキル:[邪神の教徒][同族殺し]
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おお、結構上がったな。上がり方地味だけど。
にしても位階が変わらないのはなんでだろう。リトルゴブリンの頃より遥かに強くなったはずなのに。
ガザっ、ガザッ。
ポケットな怪物のゲームなら野生の巨大ミミズが現れた。と表示されること間違いなしのそのままな雰囲気で巨大ミミズが現れた。
どうでもいいけど巨大ミミズってカッコ悪いからワームとでも呼ぼう。
こう言う時こそ、かの有名な鑑定スキルが欲しいんだけど世の中そう上手くいかない。
っと。
ワームの突進を横っ飛びでかわす。なんだ、そんなに速くない。
「んなにビビる必要なかったかな」
再び突進して来たワームを剣でバットでボールを打つように吹き飛ばした。
ヒクヒクと痙攣するワームにトドメの一撃を与える。
適当に剣についたイヤーな液体を振り払い鞘に納める。
さて、さっさと歩こう集落はすぐそこだ。
ちょっとした作業を集落の外でこなして荒屋に入る。
出世したら一人の家、せめて一人部屋が欲しいものだ。
定位置の柱に寄りかかりながらそんなことを思った。
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「ギガギギキ(出世の方法?)」
「ガガガャギ(そう、出世の方法)」
僕に出世の方法などわからぬ。ノルマも与えられてないし、そもそも処理すべき案件を提示すらされていない。勤続年数も稼げてないのでそっちもダメだ。
なので、聞いてみることにした。ゴブリンに質問をするなんて癪ではあるが、背に腹は変えられない。
作戦は僕の命を大事に。
「ギガギギキ(教えてやってもいいが、な?)」
驚いた。
驚くほど予想通りで逆に予想外だ。
あれ?僕のチートエスパーじゃないの?ないですよね知ってました。
加速した思考の中で最も利益になる選択肢を考える。
出世の方法を聞くのだから相手はある程度出世していないとマズい。だから大型化していない中でも古参を選んだ。
力尽くでは不可能なのは知っている。消去法的に……
「ギヤギガガギ(この棍棒でお願いします)」
ゴブリンがはっきりとわかるほど卑しげな笑みを浮かべた。
「ギヤ。ギガギガ(その剣もよこせ)」
そうして、僕が唯一腰に下げている剣を指差した。
掛かったな馬鹿が。原始的な集落であっても不思議と小悪党の笑みが似合っている。
「ギグッガギャギャ(そんな!それでは僕の武器が!)」
哀れっぽい声を出す僕をゴブリンが嗜虐的に嗤う。
「ギギーギッギャッ(力尽くで奪ってやってもいいんだぞ)」
「ギャガャ、ギギャッ(分かりました、お納めください)」
ゴブリンがニンマリと嗤い僕から剣と棍棒を奪い取る。
「ギガガギャ(こんなことのために武器を捨てるなんて馬鹿な奴め)」
馬鹿はお前だ。この単細胞が。
「ギガャギガギャギャ(まあいい、俺様は気分が良いから教えてやろう)」
そう言うとゴブリンは大きな建物、ボスの住処を指差した。
「ギギグッッギャッ(あそこにあるボスの家に貢物を持っていくんだ)」
「グガ(貢物••••••)」
「ギグカキャギギキ(そうだ。果物に毛皮、ボスの敵の首。その物の価値によってボスは褒美を与えてくださるのさ)」
なるほど。悪くない手だ。
「ギガャギ?(褒美?)」
「ギガャギギャガャギ(そうさ。武器に食い物、メスに地位)」
よく考えるとこの集落は中々効率的に作られている。
費用対効果の薄い弱い個体は勝手に淘汰され、強く賢い個体のみが生き残る。そして無限に近く新たな個体が湧いてくる。
少々ゾッとするがゴブリンの特質を生かしたやり方だ。
「ギャガャギガギャギャ(ま、そんな所だにしてもお前は馬鹿だな。こんなことのために武器を渡すなんて)」
そう言って上機嫌に背を向けたゴブリンの背中に嘲笑を向ける。
だから。馬鹿はお前だ。
そう心の中で呟いて僕も歩き出す。
そもそも、提示した額にゴブリンが納得するとは最初から考えていなかった。
仮に剣一本で教えてくれと頼んでもゴブリンは深く考えず値を釣り上げることは予測できた。
僕は茂みに隠しておいた武器と防具を身につける。
剣を三本持っていたらすべて寄越せと言われることも。
だからこそ、財産を隠し、最初に低い値を提示したのだ。
現代日本では個人情報保護法なんて法律まであるほど情報を厳格に管理しているし、情報の流出は信用を大きく傷付ける。
つまり、奴と僕では情報に付けた値札が違うのだ。
さてと。やるべき
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