第五話『初のPクエ』
俺とウィンダは各街に必ずある、クエスト受注店を目指して街を散策していた。
「さて、ウィンダの実力も見てみたいし、クエストでも受けに行くか?」
と、俺はあくびをしながらウィンダに問いかける。
「それはいいけど、随分眠そうね」
「まぁ……な」
それもそのはず、昨日ウィンダとパーティを組んだのが午後8時頃。
その後、俺がこの街に居る間泊めてもらっている宿屋で休む時にウィンダ用にもう一部屋借りようとしたら、
「私もクリスさんと同じ部屋でいいわよ、宿代も勿体ないしね」
と言いだし、言い争いになり掛けたので、仕方なく同じ部屋に泊めたのだが、
「こんな可愛い娘と二人っきりでぐっすり寝付けるか!」
と二、三時間程度しか寝れてないので眠たくて仕方がない。
「クリスさんって案外奥手なのね」
ウィンダはくすくす笑いながら言う。
「いやいや、昨日出会ったばかりだぞ!?」
などと会話をしながら受注店を探した。
「お、あったあった」
受注店は目印に黄色下地にその街のマークが描かれた旗を掲げたいる。
店舗は街によって大きさがかなり異なる。
俺達が今居る街”リングルム”は昔は城があって城下街だったらしいが、五年前、王様一家が暗殺され城が無くなり、ただの街になったという設定らしい。
俺が設定した訳ではないから詳しくは知らない。
「クリスさん、クリスさん」
袖を引っ張るウィンダ。
「……今更だけど、その”さん”ってやめてくれないかな?」
ウィンダは首を傾げる。
「なら……クリス……君?」
「うん、それでお願い」
ウィンダは了解と言うかのように敬礼をした。
「さて、どのクエスト受けようか」
クエストには種類、難易度毎にランク付けがされており、受注者は自分のLvにあったランク以下のクエストしか受注出来ない。
1番下のランクがE、そして1番上がSSS
そして、このランク制度以外にも、〇〇級という難易度制が存在する、こっちの制度は受注がある特定の称号を手にした後でないと受けることが出来ない。
「俺のLvだと……受けられてBか…………いや、せっかくパーティ組んだしPクエでも受けるか!」
「クリス君……Pクエってなに?」
あぁ、そこからですかー。
「えっと……Pクエって言うのは、パーティでしか受けられないクエストの事、普通のクエストと同じランクでもこっちの方が難易度が高い設定になってるんだよ」
ウィンダは納得したように頷く。
「経験値もよく、お互いの実力を見せあえるようなクエストは……これでいいか」
俺が手にしたクエストは、
『赤い巨人、レッドサイクロプスを討伐せよ!』
多数系より単体系の方がやりやすいだろう。
「ウィンダ……これでいいかな?」
と聞いてみた。
「うん、分かった……巨人狩りね」
俺は頷き、カウンターで受付を済ませ、
「持ち物も問題無いし、行くか……初のPクエだ」
俺はそんなことを言いながら右手で拳を作り、ウィンダの前に差し出した。
ウィンダも察したのか、拳を作り”コン”と拳同士合わせる。
俺とウィンダは街を出て、標的であるサイクロプスの居る、森林を目指す。
20分ほど歩き、森林の入口の前で立ち止まる。
「ウィンダ、ここから先はモンスターが出やすくなるから武器を構えておいて」
ウィンダはそっと、取り出す。
「私のこのスナイパーライフルは元は実弾だったんだけど、私は反動にまだ耐えられなくて、ビームに改造してもらったんだ」
それは俺でも見た事のある銃だった。
「それ……ヘカートII……だよね?」
「正解、よく知ってるね」
「見た事あるからね」
ウィンダは笑いながら、うんうんと頷いた。
俺も背負っていた大剣を手に取り、構える。
「よし、行くぞ」
俺達は、陽の光が全く入ってこない森林へと入っていった。
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