第48話【指南書】「三日月流導引」

 三日月流導引のやり方を、わし三日月仁蔵みかづきじんぞうが解説するぞ。

 まず大切なのが無理をしないことだな。

 最初は少しづつやってみて、だんだんと増やしていくんじゃ。


 わしは一生懸命に導引をやって、次の日に動けなくなったことが何度もあるぞ。

 『腹八分目に医者いらず』なんて言葉があるように、導引も八分目ぐらいでいいと思う。

 持病のある人や体の弱っている人は八分目とは言わず、三分目でも十分じゃろう。

 とにかく無理は厳禁じゃ。


 昔の修行僧や仏仙を目指す者達は、それこそ命がけで導引をしていたらしいが、かえって体を壊す者が多かったようじゃ。


 元々、導引は仙術の中の修行法なんだが、三日月流導引は日常で出来る優しいものになっておる。

 わしは怠け者なので厳しい修行は無理じゃ。しかし、三日月流導引なら出来るぞ! 言ってしまえばなんなんだが、三日月流導引は、怠け者の導引なんじゃ。

 歳を取っても出来るし時間もそれほどかからない。それでいて効果は高いという優れものじゃ。

 行法と行法の間に1~2回深呼吸をするのがコツじゃ。


 若くて元気な人は三日月流導引をしても、特に何も感じないかもしれない。

 三日月流導引は体の気血の流れを正常にするための行法じゃから、元々、正常な人はやっても何も感じないのじゃ。


 体の気血の流れが悪くなっている人がやるとよくわかるはずじゃ。

 しかし、気血の流れが悪いときは導引が良く効くと思っていても、気血の流れが正常になると導引をしても効かないと感じて、どうやれば効くのか分からなくなってしまうんじゃ。


 毎日、コツコツと歯を磨くようにやるといいぞ。

 虫歯にならないように歯を磨くように導引をする。虫歯になってしまうと、いくら歯を磨いても、もう歯は元にもどらないから、その時は歯医者じゃ。

 導引も病気にならないようにやるもので、病気になってしまったら病院じゃな。


「祖父、仁蔵は、このように言っていました。わたしも病気にならないように毎日導引をしています。たまにさぼるけど……あずきちゃんも導引してるもんね」


「にゃ〜ん」


「やってると言ってます」


 三日月冬子が解説する三日月流導引。

 まずはやり方でした。


※行法をやって体調が悪くなっても自己責任でお願いします。




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