第3話 学校での世界一位の俺②

俺の名はサイトウ、ほら、俺が世界で何位なのか言ってみろ?ん?

さて、先にも話した通り、俺の学校での生活はいたって普通だ、普通の高校生であり、揺るぎようのない世界一位だ。


よく世界ランキングに入ると日常をどう過ごしていいのかわからず困惑してしまう者もいるらしいのだが、俺から言わせればそれが世界一位と一位以外の差、とでも言うのだろうか。

何を困惑する事があるのか俺には不思議でならない。

何をするにも自然体、ただそこに少しだけ自分が世界一位であるという自負を忘れずに過ごすだけでいいのだから。


一昨年だっただろうか14位の奴がひどく悩んでいたんだ。

奴は世界ランキングに入ったばかりという事もあってか、普段はどうすればいいのだろうかと。

そんな14位に俺は言ってやったよ。

「だからお前はなれても14位なんだ」と。

泣いていたね、14位は。俺のアドバイスが的確すぎて涙を流していたよ。

まぁ1位に声を掛けられたという感動が半分を占めていることは間違いないのだろうが。


話が脱線してしまったが、まぁ俺の高校での生活は外から見れば普通の高校生にしか見えないだろう。

真面目に勉強をしているだけだからな。

だが忘れるな、真面目に勉強をしている普通の高校生に見える世界一位のサイトウだという事を。


ん?成績はどうかだって?

当然そこは気になるだろうな、学生を判断する基準の一つでもあるからな。

俺の通知表は常にオール1だ。なぜか?もうわかるだろう?

運任せで1をとる事はなかなかに難しいが、自分から1をとる事は容易いからだ。

実に壮観だ、綺麗に1が並んでいる様は。

だが勘違いをするな、勉強ができなくて1になっているのではない。

1が取りたいから敢えて成績を悪くしているという事を。

え?なんか言い訳に聞こえるだと?貴様、バカも体外にしないと世界一位でもさすがに怒るぞ。

勉強に関しては真面目に受けているわけだから、必要な知識は全て頭に入っているよ。

テストをわざと放棄して1を取っているのだよ。わかったかワッパ!


半信半疑の顔をしたお前に俺が知識の泉だという事を教えてやろう。


「Q.去年の世界一位は」


「A.俺だ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

世界一位の男 竹内 ヨウタ @takechi05

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ