第187話 く、悔しいっ!

 今回は、今週の日曜日のお話である。



 前日の土曜日の夜、3人での夕飯時のことである。3人とは、わたしと彼・つかさくん(仮名)と、わたしの授業を受けに来ていた我らが妹・美琴みことちゃん(仮名)である。


 彼が、明日(今週の日曜日)は用事がある、と言う。大学で知り合った友人たちと出かける、のだと言う。

 まぁ、反対する理由もないし、『行っちゃヤダっ!』って、わがまま言うつもりもない。


 わたしのそんな反応に、ちょっと寂しそうにする(美琴ちゃん主観)彼。夜ご飯も食べてくる、と言う。


 次の日(日曜日)の朝、わたしと美琴ちゃん、ふたりで彼を送りだした……。



「さて、わたしたちは、なにをするか?」

「たまには、ひなちゃん(仮名)とふたりででかけよう」


 そう言う美琴ちゃんが見せてきたスマホの画面には、『文学フリマ』の文字。わたしは知っていたけど、美琴ちゃんの興味を持つイベントかなぁ? わたしに気を使ってるのか? などと考えていたら……。


「前(前回第102話参照)に司くんと行ったんでしょ? じゃあ、今度はわたしと」


 だ……そうだ。



 彼もそうだったけれど、美琴ちゃんも、モノレールでは、先頭車両の一番前の席で童心に帰っていた。『司くんと同じ反応だ』って揶揄からかったら……。


「く、悔しいっ!」


 どうしてそうなる?



 これは、わたしと親友みあちゃんと、そのほか、少ない友だちを巻き込んだ、掛け合い語録。


 捻りもオチもないけど、彼女みあちゃんがいなかったら、今のわたしはいなかったと思うし……。


 今回は、入場が有料だったのに、すごい人、人、人だった。人手の多さに、美琴ちゃんも驚いてたけど。


「あ、子どもさんはチケット必要ありませんよ」


 入り口で、チケットを差し出したわたしに向かって、言われた言葉は、いつものお約束で。

 まぁ、親切心からの言葉だと思うことにしよう。あぁ、美琴ちゃんは、学生証の提示を求められてたわ……。


「く、悔しいっ!」

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