第183話 見えてるのは、胸の谷間っ!

 ゴールデンウィーク、連休後半3日目である。

 日曜日、そして『こどもの日』なのである。


「ひな(仮名)の日だな」


 と、宣う親友たち。失礼だな、キミたち。一番歳上のお姉さんにむかって……。だから、頭をぽんぽんすんな! 縮むだろっ! 背が……。

 朝っぱらから、彼の胡座の上に収まる(お姉さんはそういうことしない! 美亜みあちゃん(仮名)談)わたしに対して、この仕打ち……。

 今朝のできごとである。



 今日はこれから(午前8時現在)、来週に迫った『母の日』のプレゼントを、みんなで見繕いに行く予定なのだ。

 しかし、さぁ、出かけよう! となって、彼から久しぶりにダメだしがでた。


 今日は午後にかけて気温が上がる予報がでている。晴天で日差しも強いらしい。熱中症に要注意、なのだ。

 それに、一緒に行く女子全員、同じような格好だ。みんなはかわいい……。

 襟ぐりの大きな、ちょっと肩がはだける(美亜ちゃんは、プラス、胸の谷間が強調されてる)感じのインナー。

 くるりとまわればひらりと揺れるミニ丈のスカート。もちろん、盗撮防止処置済みだ。

 なにが問題なのだ?


「ひなちゃん、わざとやってるよね〜」

美琴みことちゃん(仮名)だって、同じような格好じゃん? 美亜ちゃんなんか、胸、見えてるしぃ」

「失礼だな! 見えてるのは、胸の谷間っ! おっぱい見せてるわけじゃねぇんだよっ! ないモノねだっても仕方ねぇぞ!」

「それも失礼だな」



 これは、わたしと親友みあちゃんと、そのほか、少ない友だちを巻き込んだ、掛け合い語録。


 捻りもオチもないけど、彼女みあちゃんがいなかったら、今のわたしはいなかったと思うし……。


「ひなちゃんたちの漫才が終わるのを待ってたら、いつまでも出かけられない……」


 とは、美琴ちゃん。

 そして、ジト目をした莉緒りおちゃん(仮名)は、というと。


「どうせ、渡瀬わたらせくん(仮名)が、ひなちゃんの足とか肩とか、見せたくないんだろうけど、もしもの時は、キミが守ってあげればいいんじゃないの?」


 そのとおりだと、わたしも思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る