第89話 はぁ……?
昨日の水曜日、友人の妹・
『彼のご両親と呑んで帰るけど、だいじょうぶ? 云々……』
メッセージには、そう書かれていた。わたしからしたら、『はぁ……?』である。
このおとなたち、当人たち以上に深いおつきあいが進行中のようである。
彼……とは、現在、リアルの世界で、わたしがおつきあいしている、
あぁ、それぞれの親には挨拶済みだし、さらに、それぞれの親からは公認されている。
しかし、そんな、両家の親たちだけで、おとなのおつきあいをするまでになっていようとは、誰が考えられようか? わたしからしたら、『はぁ……?』である。
父の通勤、わたしの通学で、一緒に使う路線の途中に、彼の最寄駅がある。彼は、普段、自転車通学だし、居酒屋さんとかに行ける歳でもないし、飲み屋事情に詳しいわけはないのである。
しかし、おとなたちは違った。
渡瀬家の最寄駅前で、次の日お休みのわたしの父が途中下車し、彼のご両親と合流して、駅前の居酒屋さんで、わたしと彼のことを
まぁ、父も、たまには、そういうおつきあいがあってもいいと思うのだ。だから、『だいじょうぶ、ひとりで帰れるから』と返信しておいた……が、父からの更なる返事は、斜め上を行っていた。
「帰りに寄らないか? 来るなら、彼も呼んじゃうけど♡ 彼のご両親もひな(仮名)に会いたがってるし」
これは、わたしと
捻りもオチもないけど、
彼の最寄駅で電車を降りる。三つしかない小さな改札の向こうでは、彼が待っていてくれた。
「ごめんな、うちの両親が無理言ったらしくて」
「気にしなくていいよ。お父さんも乗っかってるみたいだから、お互いさまだよ。じゃあ、行こうか?」
わたしの言葉を合図にして、彼がわたしの手をとってくれた。
あ、わたし……、制服だけど、いいよね?
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