第79話 そろそろ紹介しろ!
今日は、昨日のお話をしよう……。
最近は、ご無沙汰だったのです。大将(本人がそう呼べとうるさい)のお店。
だって、最近はわたしとお父さんのお休みが合わなかったし……。
だがしかし、今のわたしは夏休み。お父さんのお休みに合わせることができる、この幸せ。
お父さんも、今では、わたしをおいてひとりでは絶対に行かないし。でも、たまには息抜きも必要だと思うんだよね。
「ひなちゃん(仮名)、お父さんとよく行く居酒屋さんがあるんでしょ? 旦那が、それを聞いて羨ましがっちゃって」
そんな言葉を、わたしの彼、
「じゃあ……、渡瀬くん、誘ったらくるかな?」
飲んでた麦茶を吹きだすわたし。どうしてそうなる?
そんなわけで、美亜ちゃん
「ごめんね、いきなり。それに、無理やり」
「いやいや、ひなのお父さんから、誘われたってのはちょっと嬉しいかな?」
「ふ〜ん、そんなもん?」
「そりゃそうだろ? ひなの彼氏って認めてくれてるってことじゃん。でも、俺、呑めないぞ」
「誰が、お父さんの呑みにつきあえって言ったよ? わたしたちは、ノンアルコールだよ。あ、でも、ご飯は美味しいから期待していいよ」
渡瀬くんを案内しながら、暖簾をくぐって中に入った。お店にはけっこうお客さんがいた。なんだか、知ってる人ばかりだ。でも、このご時世、賑やかだけどバカ騒ぎというほどではない。時々、お客さんの視線を感じたりしたけど、みんな、おとなしく呑んでいる。
先に来ていたお父さんが手招きをしている。いつもは、お父さんとふたりカウンター席だけど、今日は彼がいるからかテーブル席に座っている。
渡瀬くんに席をすすめ、わたしも隣に座る。
大将夫人が、おしぼりとお通し? を持って、わたしたちのテーブルにきた。うちの味をちょっとずつ体験してもらおうと思って……とか言いながら、わたしたちの前にそれを置いていく。すごく素敵な笑顔だった。元々、綺麗な奥さまなのだ。その破壊力は凄まじい。
「司くん! 絶対、見惚れてたよね?」
頬を膨らませるわたし。大きく否定する渡瀬くん。大将夫人がこともな
「拗ねたひなちゃんは、やっぱりかわいいわよねぇ? 司くん?」
「そうなんです。でも、かわいいって言っても、ひなにはいつも否定されちゃうんです」
「おい、聞いたかみんな!」
大将の言葉にざわつく店内。わけもわからず、キョロキョロと周りを見渡すわたし。そんなわたしに、大将が言葉を続ける。
「おい、ひな。そろそろ紹介しろ! お前の彼氏なんだろ?」
わたしが紹介した後、
これは、わたしと
捻りもオチもないけど、
「これじゃあ、おちついて、ご飯、食べらんないでしょっ!」
と言う、わたしからの抗議は、当然、次の話題へのネタ振りとなるわけで……。
「いやぁ〜、司くん、愛されてんね〜?」
なんだ、その大合唱は?
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