第80話 ツンデレってわかります?
現在、わたしの彼氏である、
「おい、ひな(仮名)。そろそろ紹介しろ! お前の彼氏なんだろ?」
お父さんのお友だちが経営する『居酒屋』さんに、先日のお礼と称して、無理やり渡瀬くんを誘った。お父さんが……。
そして、お店の大将(本人がそう呼べとうるさい)に、彼の紹介をさせられたところから、後のお話である。
わたしは、彼がこれほど社交性が高いとは思ってなかった。そう言えば、知り合った当初、彼はムードメーカーを自称してたっけ。
会話多めで……。完全に再現できたとは思えないけど、ご了承ください。
「これじゃあ、おちついて、ご飯、食べらんないでしょっ!」
「いやぁ〜、司くん、愛されてんね?」
「え? そうですね。こんなに気を使ってくれる彼女がいて嬉しいです。俺にはもったいないくらいで……」
「司くん、やめて! 恥ずかしい……」
「わかってんなら、言うことないか? たいせつにしてくれよ」
「もちろんですよ」
「ひなは、俺たち全員にとって娘みたいな子だからな。泣かせたら……、わかってるな?」
「はいっ! ひな以外の彼女は、俺には考えられないです。泣かせたりしませんよ」
「だから、やめろって! わたしが恥ずかしいじゃないか」
「ひなのあれは照れ隠しだから、気にすんな」
「はいっ! ツンデレのフリするひなもかわいいですよね? あ、ツンデレってわかります?」
「司くんのお弁当作戦は、今後中止としますっ!」
わたしの宣言を聞いて、
俺は、常連さんたちの質問に素直に答えていただけだ……とか、ひなのことを自慢してみたかっただけだ……とか、言い訳をしてるけど。
「暫くは許してあげません!」
頬を膨らませて
そんなわたしたちを見て、常連さんたちのテンションがさらに上がった……気がした。
「暫くは……って言っただろ? すぐ許してくれるって」
「はいっ! 俺もそう思ってます!」
「彼女に尻に敷かれてるほうが幸せなんだぞ、たいがい……」
「おぉっ、先輩方のご意見は、説得力がありますね。参考になります」
「司くん? わたし、ホントに怒ってるんだよ」
「司くん、ひなの言うことだから、そういうことにしといてやろうな」
「はいっ!」
これは、わたしと
捻りもオチもないけど、
「俺、こんなひな、すごくかわいいと思ってるんですけど……。ひなは、それを否定するんですよ。俺の美的センスは間違ってないはずなのに……」
渡瀬くん、まだ、言ってるのか? でも、常連さんたちに、揃って肩を叩かれていた。それって……?
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