第43話 信用してくれないんだ

 もう一話だけ続く……。『ぜろ、リア充!』とか思わず、読んでくださると嬉しい……。

 わたしもけっこうがんばった。



 渡瀬わたらせくん(仮名)のお母さまとのお話は、最初だけ首を傾げてしまったけれど、それ以外は、概ね和やかな車中だった。


浅葱あさぎ(仮名)は、自己評価が低すぎるんだよ。俺がいくら、浅葱はかわいいって言っても信用してくれないんだ」


 いちおう、彼なりにフォローしてくれたのだろう。お母さまには、『惚気のろけんじゃねぇ』って、一喝されてたけど。


 そうこうしてる間に渡瀬家に到着。

 リビングに通され、お茶を用意され、お母さまが、テーブルを挟んでわたしの目の前に座った。渡瀬くんは、お母さまの隣に、無理やり座らされている。まるで、借りてきた猫のよう。

 まずは、今日のお礼を伝えて、カーネーションを渡瀬くんに渡す。そこから、お母さまへ。『いつもありがとう……』の言葉を、顔を紅くして、ボソボソと呟く彼はかわいかった。


 この後は、出会ったところから今日までのことを、お母さまにいろいろ聞かれた。

 最初の夏休み明けの騒動(銀髪事件)を話したら、渡瀬くんには、お母さまの拳骨が見舞われていた。


「うちのバカ息子がイヤな思いをさせたのね……」


 この後、わたしが抱えてる状況や懸念や想いを聞いてもらった。

 わたしのところが父子家庭であることや、白髪化で見栄えの悪いこと、この小さな体では、きっと、渡瀬くんを満足させてあげられないこと、それによって飽きられちゃうことへの不安。だから、つきあうことへの返事を先延ばししてきたこと……。


 帰り際、渡瀬くんに、お母さまからの指令が下った。

 わたしをしっかり送り届けて、わたしのお父さんに挨拶してこい! だって……。高3男子に、またとんでもない無茶振りを……。



 これは、わたしと親友みあちゃんと、そのほか、少ない友だちを巻き込んだ、掛け合い語録。


 捻りもオチもないけど、彼女みあちゃんがいなかったら、今のわたしはいなかったと思うし……。


 渡瀬くんが、わたしのうちまで送ってきてくれた。お母さまからのミッションもあったので、いちおう聞いてみる。


「お父さん、もう帰ってきてるけど、ちょっと寄ってく?」


 でも、なんだろね? 男同士……みたいな? まぁ、昨日も会ってるしね? 心配して損したよ。

 ふたりで意気投合してたから、わたしは夕飯の用意を始めた。渡瀬くんには、うちでご飯食べてくからって、お母さまに連絡してもらった。

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