第37話 かわいい? 誰が?

 月曜日のお昼ご飯時、わたしたちの教室を訪ねてきたのは、我が校の野球部員だった。

 男子のほうが、現在の野球部主将、わたしとは同い年。女子のほうが、先月入学したばかりの一年生で、さらに野球部のマネージャーだった。

 わたしたちの年代、このご時世のおかげで、三年間クラス替えなしできたから、主将が例え隣のクラスだったとしても、知らなかったのは仕方がない。


 ふたりして、わたしに向かって頭を下げた後、困惑気味のわたしに、女の子のほうから説明があった。



 それによると……。

 憲法記念日の3日(昨日のことね!)、郊外の運動公園グランドで、練習試合があるんだそうだ。

 相手は、同じ市内の私立の男子校と、川を挟んで隣の市にある県立高校。わたしの知る限り、昨年夏の地方大会でのレベルは同じくらい。

 そんな、男子野球部の練習試合に、助っ人と言われても、わたしがなんの役に立つのだろう。

 わたし以外も、そう思ったはずだ。美亜みあちゃん(仮名)たちもしきりに首を捻っている。


 練習試合とはいえ、入部したての一年生マネージャーがひとりだけだということに、不安があったんだそうだ。でも、どうして、わたしのところに?


浅葱あさぎさん(仮名)、最近目立ってたから」は、野球部主将の弁。

「先輩くらいかわいいと、相手チームの動揺も誘えるんじゃないかと」が、後輩ちゃん。


「かわいい? 誰が?」


 小さいはいつも言われるし、子どもっぽいとは言われることはあるけど……? 



 これは、わたしと親友みあちゃんと、そのほか、少ない友だちを巻き込んだ、掛け合い語録。


 捻りもオチもないけど、彼女みあちゃんがいなかったら、今のわたしはいなかったと思うし……。


 ということで、この日は、結構早い時間から部員たちに帯同してました。迎える側からしたら、準備が諸々あるのだそうです。

 悪戯心の見える理由に賛同したからであって、かわいいって言われたからじゃないんだからね!

 結果報告は、次のお話で……。

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