第27話 なにをしたっ?

 今回は、高校二年編いまのおはなし、というより、今朝のお話。



 わたしの通う高校は、今日から、2学期の期末テストが始まった。

 問題は、わたしたちが教室に入ったところで勃発した。いや、本当は、通学時のバス待ちの時に起こっていなければいけないはずだった。

 親友の大槻おおつき美亜みあちゃん(仮名)は、朝、顔を合わせた時に気づいていたはずだが……。その時にはスルーされたのだ。


 まぁ、今日からのテストに集中してるんだろうと、わたしは思ってたんだ。

 バス組のみんなが、自分たちの席に辿りついた頃合いだった。美亜ちゃんが、早く来てテストの勉強をしてた、渡瀬わたらせくん(仮名)の机の前に立ち塞がった。

 その影に気づいた渡瀬くんが顔を上げる。同時に、美亜ちゃんが、渡瀬くんの机を、ドンッと両手で叩いた。その音に驚くクラスメイトの視線は、どうしたってふたりに向けられている。


「渡瀬っ、オマエ、ひな(仮名)になにをしたっ?」


 いきなり、意味不明な言いがかりをつけられた渡瀬くんは、きょとん。置いてきぼりのわたしは、ぽかん。


「ひなが髪を切ったのは、オマエがなにかしたからじゃないのかっ?」


 その怒声に、わたしをみて気づいた渡瀬くんの目は……点、のようになっていた。漫画かよ?

 渡瀬くん、関係ないけど……? 美亜ちゃん、それ言ってみたかっただけでしょ?



 これは、わたしと親友みあちゃんと、そのほか、少ない友だちを巻き込んだ、掛け合い語録。


 捻りもオチもないけど、彼女みあちゃんがいなかったら、今のわたしはいなかったと思うし……。


 しかし、朝からこの騒動のおかげで、緊張もせずにテストに臨めたと、クラスメイトたちから称賛を浴びていた。美亜ちゃんが……。

 そして、ボブ姿のわたしは、みんなから頭をぽんぽんされまくった。

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