第28話 もう一回言って

 今回も、高校二年編いまのおはなし、前話の続き。


 親友の大槻おおつき美亜みあちゃん(仮名)から、いきなり、意味不明な言いがかりをつけられた渡瀬わたらせくん(仮名)。


 その渡瀬くん、変わり果てたわたしを見て、目が点になっていた。漫画かよ? は前話で語った。そう思うほどに、彼の表情が抜け落ちていたのはおもしろかった。

 二十センチくらい切ったからなぁ。でも、これまでだって、毎日、大雑把なポニーテールだったし、髪、下ろした姿は見せたことなかったはずだ。



「浅葱(仮名)、どうしたんだ? その髪……」

「別に。どうもしないけど?」

「俺……、なんかしたか?」

「なんで、そっちなんだよ」



 これは、わたしと親友みあちゃんと、そのほか、少ない友だちを巻き込んだ、掛け合い語録。


 捻りもオチもないけど、彼女みあちゃんがいなかったら、今のわたしはいなかったと思うし……。


 まぁ、短いのもかわいいって言ってくれたから、許してやろう。もう一回言って……って言ったら、拒否されたけど。

 それこそ、漫画かよ。

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