第21話 意外と小悪魔なのな?

 今回は前回の続きで、またまた高校一年編ちょっとまえのおはなし

 今年の3月15日は月曜日。その前の日、渡瀬わたらせくん(仮名)が、『映画見に行かないか?』って誘ってくれた。なんでも、ひと月前のお返しだとか……?


「親がさぁ、先月、浅葱あさぎ(仮名)がくれたチョコを見て……、『しっかり、お返し考えなさいよっ!』って言うんだよ」

「みんなとおんなじだから、ともチョコだよ」

「それはちょっと残念だけど。親から見たら、スッゲー、インパクトがあったわけよ」


 で、ホワイトデーのこの日、ふたりで映画を見に行ったわけだ。

 駅の改札を抜けて、大きな商業施設の中にあるシネコンに向かう、ほんの数分の間、そこで、わたしの悪戯ごころが、顔を見せ始めた。

 たぶん、相当悪い子の顔……、してたと思う。


 街中で、渡瀬くんの腕に、突然、わたしの腕を、絡ませて……みた。

 急激に動きがぎこちなくなる渡瀬くん。わざとらしく上目遣いに見上げた先のその顔は、あまりにもあかかった。



 その時と同じことを、隣の席の渡瀬くんに強行したのだ。

 教室で、渡瀬くんの腕に、突然、わたしの腕を、絡ませて……みた。

 大きくのけぞる渡瀬くん。そして、そのまま固まっている。


「うわぁ、ひなのその距離感……」


 ボソっと、呻いたのは烏丸からすまくん(仮名)。


「わたし、みんなの前で抱き抱えられてるからね。だから……お返し?」

「それを言うなら仕返しだろ? 浅葱って、意外と小悪魔なのな?」

「うん! 悪女って言わなかっただけ許そう、会津あいづくん(仮名)。褒め言葉として貰っとくよ!」



 これは、わたしと親友みあちゃんと、そのほか、少ない友だちを巻き込んだ、掛け合い語録。


 捻りもオチもないけど、彼女みあちゃんがいなかったら、今のわたしはいなかったと思うし……。


 次回は、高校二年編いまのおはなし。後輩ちゃんがやってきた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る