第22話 いつもどおりでいいよ
父の日を明日に控え、今年は何を作ろうか……と、ひとり、図書室で考えに耽っていた時だった。
「
遠慮がちに、わたしのこと? を呼ぶ声が聞こえた。聴き慣れない言葉がついてた気がするけど……と、訝しみながら顔を上げる。
そこに立っていたのは、中等部の制服を着た、わたしよりちょっと背の高い女の子だった。
リボンタイの色からすると二年生なんだけど、わたしの記憶を探ってみても、まったく思いだせないその子。わたしにできることは、首を
それを見て、わたしの困惑具合を悟ったようだ。
「失礼しました。わたし、中等部2年の、
彼女は、そう言って頭を下げた。それでも、わたしの記憶の扉が開くことはなく……。
「ごめんね、どこかで会ったことがあったかな?」
「一年生の時の
「お姉ちゃん……?
「はいっ。お姉ちゃ、イエ、あの、姉がいつもお世話になってます。熊谷真琴はわたしの、あ、
なんだか、緊張してて、堅苦しくて、たどたどしくて。そんな姿がかわいらしい。
「いつもどおりでいいよ。わたしは気にしないし……。で? どうして、わたし?」
これは、わたしと
捻りもオチもないけど、
次回も、
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