第09話 ごまかすな、バカ!

 前回の続き……。


 美亜みあちゃんが嬉しさのあまり、わたしを抱きしめて、わたしがのたうち回る教室。


「とにかく、離れてくれ……」



 やっとのことで、美亜ちゃんを押し除けたわたし。

 ガッチリと掴んだ二の腕が真っ赤になるくらい、その掴んでる手は白くなるくらいに、自分を押さえつけ、次第に落ちつきを取り戻していくわたしとは反対に、盛大に狼狽うろたえる美亜ちゃん。


 そんな美亜ちゃんを落ちつかせるために、こうなった原因を話し始めた。まぁ、誰も信じてはくれないだろうけどね。被害妄想だって言われたこともあるし……。


「わたし、伸びてくる手が怖いんだよ。そんなことを言うわたしは……、気持ち悪いだろ?」

「そんだけ、本気で震えてんだから、ホントのことなんだろ? それって、完全なトラウマじゃないか?」

「トラウマなんて言葉、よく知ってたね?」

「ごまかすな、バカ!」



 これは、わたしと親友みあちゃんと、そのほか、少ない友だちを巻き込んだ、掛け合い語録。


 捻りもオチもないけど、彼女みあちゃんがいなかったら、今のわたしはいなかったと思うし……。


 次回も、中学過去編まえのおはなし、カミングアウトしたときのお話、その3。もうちょっと続く。

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