第08話 とにかく、離れてくれ……
知り合ってから、何かにつけて後ろから抱きついてくる美亜ちゃん。中1としては大きなほうの自分の胸を、わたしの背中に押しつけてくる。わたしは、そっちの
美亜ちゃんが、教室に飛び込んできた。なにやら興奮気味である。
「ひな! 期末の成績が貼りだされてる」
「中間の時も貼りだされてただろ? 今更……」
わたしたちの通っていた中学は、各テスト終了後、成績上位陣の発表が恒例となっていた。そう、職員室前の廊下に、名前と点数が貼りだされるのだ。
いろいろと賛否両論はあったけれど、そこに載らなかった、下のほうの子には優しく、もうちょっとだったね……の子には奮起を期待する。とかなんとか。
競争心を煽る意味では、効果があったようだ。
わたしは、興味なかったから、中間テストの時も見に行かなかったけど。
美亜ちゃんは、それを見てきたのだろう。ふるふると震えながら……。
「わたしの名前があった……。25番!」
「おめでとう、がんばってたもんね」
「うん、がんばったけど。でも、ひなに教えてもらったからだよ。たぶん……」
そう言いながら、またも、わたしに抱きついてきた。
完全に油断してたわたしは、美亜ちゃんの胸に包まれる形になっていた。
「とにかく、離れてくれ……」
やっとのことで、美亜ちゃんを押し除けたわたしは、浅く早い呼吸と、蒼白な顔色に苛まれていた。震える体を、自分の手で抱きしめるように押さえつけることしかできなかった。
これは、わたしと
捻りもオチもないけど、
次回は、
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