第07話 後ろは誰?

 前回の続きになるのかな……。


 高校生になって、初めて、クラスメイトにリアルで対面した日のこと。わたしの席の右隣、渡瀬わたらせつかさ(仮名)くんのお話。因みに、更にその右隣が、前回登場した、小鳥遊たかなし莉緒りおちゃんの席である。小さい者同士である。



「やったね、窓際だ! ひなとも並んでるし、楽しくなりそうだな」

「わたしも、美亜みあちゃんの近くでほっとしたよぉ……」


 初めての教室に緊張しながら、自分たちの席に辿りつく前に、ふたりに捕まったわけだけど、その時に、美亜ちゃんが目敏く見つけたみたいだった。一番後ろの席の、男の子の視線が、美亜ちゃんの大きな胸に釘づけになっていたことに……。


「なに、わたしの胸、見てんだ?」

「イヤ、見てねぇって、なに言って? あ、悪い、そういうつもりじゃねぇんだ」

「じゃあ、どういうつもりだ!」

「後ろは誰? って思っただけで、決して、胸、見てたわけじゃねぇんだ」


 慌てる渡瀬くん。その視線が大きく泳いでる。莉緒ちゃんがぼそっと呟いた。


「説得力ないよね」



 これは、わたしと親友みあちゃんと、そのほか、少ない友だちを巻き込んだ、掛け合い語録。


 捻りもオチもないけど、彼女みあちゃんがいなかったら、今のわたしはいなかったと思うし……。


 次回は、中学過去編まえのおはなし、カミングアウトしたときのお話……。

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