第06話 小さい者同士……

 2ヶ月遅れで始まった高校生活。大がかりな入学式もなく、指定された教室に、美亜みあちゃんとふたりで辿りついた。小さな妹の手を引く、優しい姉を満喫していそうな美亜ちゃん。

 自分たちの席を黒板で確認する。あ、前後で並んでた。



「ふたりは外部進学なの?」


 美亜ちゃんの前の席で話し込んでいた子たちが、わたしたちに話しかけてきた。


「そうだよ。よろしくな。わたしが大槻おおつき美亜みあ。このちっさいのが、浅葱あさぎひな」

「よろしくね。わたしたちは内部生なんだ。わたしが、熊谷くまがい真琴まこと(仮名)、このちっこいのが、小鳥遊たかなし莉緒りお(仮名)」

「ちょっと、真琴ちゃん? ちっこいはないんじゃない? ねぇ、浅葱さん?」


 席についている熊谷さんは、なんとなく、美亜ちゃんに似てるかな? その熊谷さんの前に立っていた小鳥遊さんが、わたしに話を振ってきた。

 わたしと同じくらい小柄な子だ。でも、わたしの勝ちだな! なんて不埒なことを考えてると。


「わたしの席は、浅葱さんの隣の隣。小さい者同士、よろしくねぇ」


 う、先手を打たれた。



 これは、わたしと親友みあちゃんと、そのほか、少ない友だちを巻き込んだ、掛け合い語録。


 捻りもオチもないけど、彼女みあちゃんがいなかったら、今のわたしはいなかったと思うし……。


 次回は、初日、美亜ちゃんの胸に視線が釘づけだった、隣人のお話をしようか? 

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