第04話 ちっさいのに!

 もう少し続きます、中学生編。

 今回は、知り合って1ヶ月ちょっと経った、6月中旬の出来事。


 その日は、美亜みあちゃんの誕生日だったらしい。

 朝の教室で、背後から抱きつかれたけど、その時には、なにやら嬉しそうな雰囲気を漂わせていた。まったくもって鬱陶しい。


「ひな、聞いてくれよ。わたし、今日、ちょっとおとなになったんだ!」

「誕生日か? それは、おめでとう」

「むっ、まだ、なんにも言ってないじゃないか!」

「イヤイヤ、おとなになったって……」


 わたしのツッコミに、盛大に頬を膨らませる美亜ちゃん。まだまだ子どもだ。

 わたしが、そんなことを考えてるとは知らないだろう美亜ちゃん。なぜか得意げに胸をそらしている。そして。


「ひなより歳上のわたしは、おとなの余裕を見せないとな」

「そうか? 因みに、わたしの誕生日は2ヶ月前だ」


 一瞬の沈黙。美亜ちゃん、有名な絵画みたいになってるよ。


「嘘だ! こんなにちっさいのに……」

「おい、どこ見て言ってる?」



 これは、わたしと親友みあちゃんと、そのほか、少ない友だちを巻き込んだ、掛け合い語録。


 捻りもオチもないけど、彼女みあちゃんがいなかったら、今のわたしはいなかったと思うし……。


 次回は、3年後の美亜ちゃんの誕生日のお話?

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