自習の時間はお静かに
結局四限をまともに受けれないまま五限目に突入した。
「何故だ…… 」
五限目こそはまともに受けようと思っていたのだが、教科の先生の急な出張とかで自習になった。
机の上にノートと教科書を出し万全の準備を整えていた俺は完全に出鼻をくじかれ机の上に項垂れた。
そしてそんな項垂れている俺を万年の笑みで見つめる人物がいる。
御本だ。
「嬉しそうだな……」
「ああ、嬉しいぞ!私は勉強が嫌いだからな!」
課題のプリントをやる為に向かい合いで座っているのだが、不思議と御本の笑顔に殺意が湧いてきた。
「何をそんな怖い顔しているのだ?自習なんだぞ!自由なんだぞ!」
御本は身を乗り出し力説する。
自習は自分で学ぶ事であり、御本の言う自習の意味とは大きく外れている。
「あの時誰かさんに気絶させられなければな。と思ってな」
授業に遅れるのも今回が初めてでは無く去年から通算するともう二桁は行っている。
大半の原因はやはり御本関連のものが多いのだがここでは割愛する。
課題は出しているとはいえ卒業、進級には少なからず出席点などが必要になるためこのままでは卒業は愚か進級できるかする怪しい。
未だに何故二年に進級できたか分からない。
「なっ!私のせいと言いたいのか!?わざわざ屋上まで出向いて起こしてやったんだぞ!?」
御本は両手で机を叩き立ち上がった。
「なーにが起こしてやった。だ!お前がやったのは暴力だ!それに人を起こすのにみぞおちに肘打ちを食らわす奴があるか!」
それに対抗するように俺も椅子から立つ。
「あれは肘打ちでは無く。エルボードロップだ!」
「んな事はどうでも良いんだよ!お前はあれか?人を起こすにはエルボードロップが良いです。とか教育されて来たのか!?人を殴っちゃ行けませんとか習わなかったのか!?義務教育で何を学んできたんだよ!?」
「あの〜」
過熱する俺と御本の間に一人の生徒が割って入ってきた。
「あ?」
「何だ?」
俺と御本に睨まれた生徒は「ひっ」と短い悲鳴を出した後、意を決したように口を開いた。
「け、喧嘩するのは良いんですが、教室ではちよっと……」
その言葉で俺は気付いた。そういやここ教室だ。
クラスを見渡す。代理の先生含めた全員がこちらに視線を向けており、中には笑っている者もいた。
急速に顔が赤くなるのを感じ崩れ落ちる形で椅子に座った。
「私の勝ちだな水瀬!」
勝ち誇ったように笑う御本に「ああ」と短く返す。
俺は恥ずかしさのあまり窓の外に視線を向けた。
クラスの方見れない。
「仲良いのね」
代理先生の何気ない言葉が俺の羞恥を加速させる。
「負けた水瀬には罰が必要だな!」
御本がそんな事を言っていた気がするが、それどころでは無い。
俺は五限目が終わるまで机に突っ伏している事にした。
△
自分的に微妙だったので書き直しました。
今後もこういう事はあると思います。
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