2021-10-01

この世に生きる人間すべて、ツギハギの紛い物に過ぎない。


俺たちの心は、俺たちが生きてきたその中で見たもの、

触れたもので構成されている。

俺たちが影響を受けたいと思ったものたちで形作られた、

そのかたちが人間そのものだ。


だから、俺たちが何を創ろうと、何を為そうと、

大抵は過去ある時の焼き増しに過ぎないのである。


ただ、その事がすべての価値をまるっきり損なってしまうわけではない。


個々のモノは焼き増しに過ぎねども、その組み合わせは膨大だ。

さらに、同じモノでも時代や情勢に依って見え方が変わる。


たかが焼き増しでも、俺たちの生きる有限のコミュニティにとって、

一定の意味があるものだって存在するかもしれない。


だから、俺は思考を辞めたくない。

何かを考えて、何かを創ることは、絶対に価値のあるものだ。

霧を掴むように朧げな価値を求め、

ひたすらに踠いているくらいが、

俺にとっては似合いなのかもしれない。

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