優しすぎるおばさん

増田朋美

優しすぎるおばさん

優しすぎるおばさん

寒い日だった。急に寒くなったとみんな言っている。つい先日まで暖かいと思われていたのに、急に冬らしく寒くなったから、みんなびっくりしているようなのだ。その日も風が吹いて、今日は本当に寒いなあと思われるほど寒くなったが、これが本当の冬の寒さだと、豪語する人もいるくらいだから、誰の意見が正しくて、誰の意見が正しくないのか、今の時代はあまりはっきりしないのであった。

「それにしても、彼は自分では歩けないのに、食欲だけは普通にあるんですね。」

と、ジョチさんが、リンゴをおいしそうに食べているフェレットの輝彦君を眺めながらそういった。

「ほんとだよ。でもご飯をたべてくれるって、幸せなことというか、健康的でいいよねえ。なんか、最近そう思うようになった。そうなると、僕も年かなあ。」

と、杉ちゃんが頭をかじりながらそういうと、

「そうですね。確かに、其れは言えているかもしれませんね。輝彦君は、体は病んでいても、心は

健康そのものですね。其れは、ありがたいことですね。」

ジョチさんは、にこやかに言った。

「まあ、水穂さんもそうなってくれたらいいんだけど。無理かなあ。」

杉ちゃんがそういうと、

「そうですね。」

とジョチさんは言った。同時に、彼のスマートフォンが勢いよく音を立ててなる。

「はいもしもし、曾我です。」

ジョチさんが電話アプリを立ち上げた。

「あああの、理事長さん。遠山さんがまたどっかにいなくなっちゃいました。あたし、理事長さんに言われた通り、ちゃんと見張ってたんですけど、トイレに行って戻ってきたら、もう姿がなくなってたんです。玄関に行ったら靴がなくなってたし、トイレの洗剤がなくなってたんで、たぶん、製鉄所の外へ出ていったと思うんですけどね。」

電話をよこしたのは製鉄所の利用者だった。時々、こういう事も起こる。脱獄というか、製鉄所から脱走してしまうことだ。利用者は、勉強したいとか、静かな環境で仕事をしたいという理由で製鉄所にやってくるため、遊びたくてたまらなくて脱走してしまうというケースはあまりないのであるが、その代わり別の理由で脱走してしまうケースが最近増えているような気がする。其れは、誰かが止めないと、もしかしたら、命を奪うことにもなりかねないので、よく注意をしていなければならない。

「そうですか。また彼女が何かやらかしましたか。」

ジョチさんは淡々と言った。

「ええ、どうしよう、理事長さん、あたし、遠山さんを見捨てた悪い人ということになりますよね。そうしたら、すぐに探さなければなりませんよね。」

「はい。もしかしたら病院へ運ばれることも考えられますから、影浦先生にも連絡取っておいてください。どうしようじゃなくて、やったことはやったことなんですから、彼女が行きそうなところにとにかく、行ってみることでしょう。僕もすぐにそっちへ戻りますから、落ち着いてくださいね。」

と、ジョチさんは、急いで電話を切って、悪いが製鉄所に急用ができて、と杉ちゃんに言った。

「一体どうしたの?」

と杉ちゃんが聞くと、

「ええ、遠山美知佳さんという女性の利用者がいるんですが、彼女がまた自殺未遂を起したようなんです。」

と、だけジョチさんは言った。

「まあ、良くあることですが、彼女の自殺未遂の多さは、困ってしまうものです。」

急いで草履をはくジョチさんに、杉ちゃんは、はあ、大変だなとだけ言うしかできなかった。こういう時は、杉ちゃんも役に立たないことは知っている。そんなときはとにかく邪魔をしないで円滑に進むようにしてやることだと思っている。

「まあ、いつものパターンなんですけどね。まったく困りますよ。こうして周りに迷惑をかけているのに、気が付かないんですね。」

とジョチさんはそういうことを言いながら、小園さんの運転する高級セダンに乗り込んで行った。杉ちゃんは、頑張れようと言いながら、それを見送るしか出来なかった。杉ちゃんがため息をついて部屋に戻ろうとすると、車いすのポケットにしまい込んで置いたスマートフォンがなった。

「えーと、電話アプリはこの赤いシールのところを押すんだっけな。」

と、杉ちゃんがその通りにして電話に出てみると、

「あ、あの、理事長さん、いま、影浦先生から電話がありました。遠山さんが運び込まれてきたそうです。」

とひどく慌てた声が聞こえて来た。多分利用者が番号を間違えたのだろう。

「お前さん間違った番号を回したな。僕は、ジョチさんじゃなくて、杉三だよ。」

と、杉ちゃんが言うと、

「ああ、ごめん、ごめんなさい。ひどく慌てて電話をかけたから、間違えて杉ちゃんに賭けちゃったんだわ。」

と利用者はそういうことを言っていた。

「まあ、気にすることはないよ。其れより、遠山だっけ。その女性は、どんな女性なの?」

と、杉ちゃんが言うと、

「ええ。一週間前から製鉄所に来ているんだけど、毎日毎日死にたいと言って、泣いている子なんです。」

と利用者は言う。

「なるほどね。まあ、そういう利用者は多いわな。最近、自殺志願者が多いって、ジョチさんが言ってた。まあ、電話を貰ったから、僕もその遠山っていう自殺志願者の顔を見てみたいな。とりあえず、影浦医院にいるわけね。一寸、行ってみるよ。」

と、杉ちゃんが言うと、利用者もぜひそうしてちょうだいといった。多分、彼女も心配しているのだろう。

「じゃあ、行ってくるから。お前さんもな、あんまり動揺するなよ。事実ってのはただあるだけだからよ。其れをちゃんと頭の中に叩き込んで、落ち着いて過ごしてくれな。」

と、杉ちゃんは、その女性にそういうことをいって、玄関からそのまま外へ出て、隣の蘭の家のインターフォンを押した。

「おーい、蘭。一寸岳南タクシーを呼んでくれ。影浦医院まで連れていってもらいたい。」

蘭は、いきなりこんなことを言われて、何だよ急にと思ってしまったが、杉ちゃんはおかまいなしでもう一度、タクシーを呼んでくれと頼んだ。

「一体何だよ、急にタクシーを呼び出すなんて。」

と、蘭が言うと、

「ああ、何でも製鉄所に通ってる遠山美知佳という女性が、自殺未遂を起したらしいんだ。その様子が気になるので、タクシーを呼び出してほしい。」

と、杉ちゃんは言った。

「遠山美知佳だって!」

蘭はその名前を聞いて思わず言う。

「その遠山美知佳という子は、確か、リストカットの常習犯だったはずでは?それを消す方法を僕のところへ相談に来たことが在ったんだ。」

「そうか、お前さんもかかわりがあったのか。問題を抱えると、世界が狭くなるな。よし、僕たちも、影浦医院へ行こう。」

杉ちゃんが言い終える前に、蘭は、急いでスマートフォンをとり、タクシー会社に電話をかけ恥じていた。

二人は、タクシーに乗って影浦医院に行った。二人がタクシーの運転手に手伝ってもらって下ろしてもらっている間、杉ちゃんより、蘭のほうが、心配のあまり興奮していた。

二人が、影浦医院の入り口から中に入ると、精神科医の影浦千代吉が出迎えた。

「あの、遠山美知佳という女性が、ここへ運び込まれたと聞いたものですから!」

蘭は急いでそういうと、

「ああ、大丈夫ですよ。彼女は、解毒剤が効いて、ちゃんと帰ってきてくれました。後は、目を覚ましてくれれば心配はいりません。」

と、影浦はできるだけ軽くそう返した。

「解毒剤?毒入りの何かをたべたのか?」

蘭が聞くと、

「ええ、公園で洗剤を飲んで倒れたところを、通行人が発見してくれて、直ぐにこちらへ連絡をくれたので、こちらもすぐに処置ができて助かりました。」

と影浦はいった。

「腐食性食道炎を起しているので、そこだけは治療しなければなりませんけど。」

「そうですか。でも、命が助かって本当によかった。彼女に会うことはできませんでしょうか?」

と蘭が聞くと、

「はい、短時間なら大丈夫ですよ。こうして面会に来てくれる人が居てくれて、美知佳さんは幸せですね。其れに気が付けば、自殺なんてしなくてもいいのに。どうぞ、こちらですよ。」

影浦は、杉ちゃんと蘭を、病棟へ案内した。普通の病院とほとんど変わらない作りの影浦医院であるが、手洗い場に石鹸がなかったり、廊下に手すりが付いていないところが一般的な病院とは違っている。

「面会は大丈夫ですが、あまり刺激的な発言はしないでくださいね。」

影浦にそうくぎを刺されたが、蘭はその一言に返事もしなかった。

「こちらへどうぞ。」

影浦がドアを開けると、中にはジョチさんがいた。その奥に、遠山美知佳が横たわっていた。

「美知佳さん!なんてことをしてくれたんだ。僕はもう心配で心配で!」

蘭は、思わず彼女にそういうことを言うが、

「蘭さん、いきなりそういうことを言ってはまずいでしょう。」

とジョチさんがそれを止めた。

「でも、半端彫りにしない約束は、守ってください。僕のところに来た以上、半端彫りは絶対にしないでもらいたい!」

遠山美知佳の右腕には、おびただしいリストカットの痕があった。其れを消すために、刺青を彫りに来たとみられ、菊の花が筋彫りされていた。

「なんですか。蘭さんのお知り合いだったんですか。遠山さん、こうして蘭さんも、心配しているんですから、もう、心配させるようなことはしてはいけませんよ。」

と、ジョチさんは、一寸苦笑いをした。

「それより、親御さんはまだですかねえ。お母さんかお父さんか誰か、病院に来てほしいんですけど。」

と、影浦が医者らしくそういうことを言っている。

「もう一回、呼び出してみましょうかね。親御さんが来れば、又変わってくれると思うので。」

ジョチさんは、スマートフォンを出して、また電話をかけ始めた。彼女は確かお父さんがいなかった。離婚してしまって、おかあさんと二人暮らしだ。お母さんは確か学校の先生で、そのため収入の面では申し分ないけれど、彼女のそばにいることは、無いに等しいと言ってもいい。

「信じられませんね。お母さんは、仕事が忙しくてこられないそうです。」

ジョチさんは一寸悔しそうに言った。

「そうだなあ、他人の子どもの教育に忙しすぎて、いわゆる紺屋の白袴か。」

杉ちゃんはでかい声でそういったのと同時に、たったったと病院の廊下を走ってくる音がして、ひとりのやや年配の女性がやってきた。

「あの、遠山美知佳の伯母でございます。」

そういう彼女だが影浦は、遠山さんのお母さんに兄弟はいないと言った。ということはこの女性、どういう関係だろう?

「おばさん、ですか。遠山美知佳さんの。」

蘭が思わずそういうと、

「ええ。でも、遠山さんのお母さんにはいつも、煙たがれていますけど。」

と彼女は言った。

「ああ、ごめんなさい。私、ただ、遠山さんの隣のお宅に住んでいるだけの事で、血縁関係はありません。村松真理恵と申します。」

そう彼女が自己紹介したため、この人と遠山美知佳の関係を知ることができた。

「そうなんですか。其れで遠山美知佳さんとは、ずっとお知り合いで?」

とジョチさんが真理恵さんに聞くと、

「ええ。まあ、彼女が学生時代の時、よく、うちへ遊びに来てくれたものですから。もっとも最近は、うちへ来ていなかったので、心配していたんですけど。」

真理恵さんはそう答えた。

「そうですか。もうちょっと、彼女に近づいてやっていれば、彼女はこんな事をしないで済んだかもしれないね。昔は、親が居なくても子は育つっていうかさ、そういう事も出来たのに。」

杉ちゃんがそういうと、真理恵さんはそうしてやるべきでした、ごめんなさいと涙をこぼしていったのであった。

「それより、遠山美知佳さんの身内の方に連絡を取りたいんですけどね。娘さんがこうして自殺未遂を起こしたんですから、何とかしなければならないと思ってくれるはずなんですが。何か連絡先を教えてくれませんか。」

と、影浦がそういうと、真理恵さんは、

「それはできません。何かあったら、私が何かしますから。私が、彼女の世話をします。着替えが必要とか、そういうことでしたら、私が用意しますから。」

と答えた。

「そうですが、親御さんでなければできないこともあるんです。入院の手続きとか、そういうことは、親御さんというか、ご家族の方でないと、出来ませんから。」

「でも、影浦先生。」

真理恵さんは影浦に言った。

「彼女のように、ご家族に捨てられてしまった人は、こういう病院にはいっぱいいるんじゃありませんか。幾ら親御さんであっても、親御さんらしくない態度をとる方は、たくさんいるでしょう。其れだったら、世話をしてやると名乗り出ている人物が、何かすればいいんじゃありませんか。私が彼女の世話をすると言っているんです。だから、それでいいことにしてやってください。仕事が忙しくない限り、私、毎日ここへ来ますし、彼女の世話もしますから。そうすればいいでしょう?」

「確かにそうなんですけどね。法律では、、、。」

と、影浦はいいかけて、真理恵さんの決意に満ちた目つきに、口をつぐんでしまった。

「まあ法律では家族がしなきゃいけないことになっているんだろうけどさ。其れでも、真理恵さんが名乗り出てくれるのは珍しいな。」

と、杉ちゃんは真理恵さんの顔を見て、感心したように言った。

「影浦先生。ここは真理恵さんの言う通りにしてやった方が良いかもしれませんぜ。本当の家族には、どうしてもできないけど、第三者には簡単にできちゃうことは、幾らでもありますよ。」

確かにそうかもしれなかった。

「じゃあ、一寸こちらにいらしてくれますか。入院の手続きとか、やりたいので。」

と、影浦は、真理恵さんを別室へ連れていく。

「あんなにすごいことをやってくれる、おばさんがいてくれるんだったら、自殺なんてする必要ないじゃないか。幾ら親御さんに捨てられたような存在であっても、ああいう優しいおばさんがいてくれるなら、彼女のために生きるという気持ちになれないのかよ。」

と、杉ちゃんは、でかい声で遠山美知佳さんに言った。でも蘭は彼女の顔を見て、彼女が喜んでいなことを感じ取った。なんでだろう?と蘭が思っていると、

「もうさあ、こういうことになっちまったんだから、お前さんはあのおばさんに何とかしてもらうしかないよなあ。なんで、其れなのに、おばさんを毛嫌いするような目つきをするの?」

杉ちゃんは、直ぐにそういうことを聞いてしまった。杉ちゃんという人は、すぐに理由を聞きたがる。まったくと思うのだが、杉ちゃんの悪癖は直らない。

「杉ちゃん、あんまりデリケートなことは言わないほうが良いと思うけど。」

と蘭はそれを止めようとするが、

「いえいえ、これほど、生きるように対策をとってある施設はほかにありません。もしかしたら、二度とないかもしれないから、ここで言ってしまったほうがいい。」

と、ジョチさんが言った。確かにそうかもしれない。何か起こしたら、すぐに誰かが飛んできてくれるような環境はほかにないと思われる。

「あたしの母に、あの人はああして復讐してるんです。」

と、美知佳さんは小さい声でつぶやいた。

「復讐ね。お前さんのお母ちゃんと、お前さんは、何か因果関係でもあったのか?」

杉ちゃんがすぐ聞くと、

「はい。だって私の母が、彼女の息子さんの担任教師になって、進路指導という名目で、彼を自殺に追い込んだから。」

と、彼女はさらに小さい声で言った。杉ちゃんも蘭も、ジョチさんも、そういうことだったのか、という顔で彼女を見つめた。

「でも、今してくれていることは、彼女はそんな気持ちはないと思いますよ。彼女は、あなたの事を思って、きてくれているんじゃないですか?」

と、ジョチさんは、美知佳さんにいうが、

「そうですけど。やっぱり、真理恵さんは、自分の息子さんを、私の母が殺したのではないかと思っていると思います。彼女は、息子さんの葬儀の日、私たちが弔問に訪れた時、ものすごい怖い顔で私の事見てましたから。私、覚えてますよ。私は、小学校にも行ってない年齢だったけれど、それでも私、ちゃんと覚えてますから。子どもだったから余計に覚えているのかもしれない。あの人は優しいおばさんで、私の事を、心配してるけど、裏はそうじゃないんだって。多分私たちに復讐するつもりだから、ああして優しくしてくれているんだって。私は、そう思っているんです。」

美知佳さんは、半分泣き出しながら、そういうことを言った。看護師が、もう彼女を休ませてやってくれませんかといったので、杉ちゃんたちはまた来るぜと言って、病室を出ていった。後は、おばさんが別室から戻ってくるのを待たなければならない。

そのころ、別室では、真理恵さんが、入院関係の書類に署名したりしていた。

「美知佳さんはあなたの事を、息子さんがなくなったことで、復讐しようとしていると言っていますが、実のところ本当はどうなんでしょうか。」

と、影浦が真理恵さんに言う。

「ええ。確かに息子がなくなったときは、非常に憤りました。でも、考えてみれば、やったのは美知佳さんのお母さんで美知佳さんは悪いわけではありません。美知佳さんのお母さんは、働かないでご飯だけ食べようというのは、絶対にいけないことだと、息子に言っていたそうです。其れを苦にして、息子は逝ってしまいました。でも私は、そういう考えは間違いだ、そういう考えをしていたから、息子は死んでしまったということを知っています。だから美知佳ちゃんには、息子の分も生きてほしいなと思うのが、私の最大の願いです。」

真理恵さんは、涙をこぼしていった。

「でも美知佳さんは、あなたが親切にすることで、息子さんへの復讐をしていると、いまでも思っているようですが?」

影浦がそう聞くと、真理恵さんはこう答えた。

「ええ。本当は、美知佳ちゃんのお母さんにこういう態度をとってほしい気持は山ほどありますよ。でもね、美知佳ちゃんのお母さんは、働かなければ生きてはいけないと口にすることしか愛情表現はできないんですよ。其れは、美知佳ちゃんに通じてないことはよくわかります。だから私がこういう風にして、代理でするしかないんです。」

影浦が黙っていると真理恵さんはつづけた。

「私、先日動画サイトでみましたけど、今は寝たきりのフェレットちゃんでも周りの援助で精化することができるんです。人間だって同じでしょ。人間だけ特別ということはないですよね?」





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優しすぎるおばさん 増田朋美 @masubuchi4996

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