第2話 京浜東北線

 そうこうしているうちに南浦和・高校の最寄り駅へ到着した。


 丁度、これから乗り換える京浜東北線の大宮方面へ向かう車内で見える煉瓦づくりの二階建ての長い校舎が理子らの母校永明女子高校である。


 ともかく、埼玉県内の公立すら受からない子女の受け入れ校のため近隣の評判は悪い。

 

 しかし、登下校に正門前で三方に向い、必ずお辞儀、駅から学校までの道すがらでは担当の先生が立ち、服装などのチェックはあるので、たくましいと企業で評価させる女性を育成していた。


 また、この高校のもうひとつの特徴として、高校には珍しいカウンセラールームも併設されているため、近隣県のいじめ経験もある理子のような体験者も集まる面もあった。


 正直いうと在学中はこの学校の偏差値の低さが嫌いだったが、偏差値平均の履歴書よりもお見合いで使うつり書に効果抜群なお嫁さんにしたい女子大学にこの春から通い初めて4ヶ月。

 

 正直言って、優しくて性格穏やかで素直な子が多い、真の意味での気のきくことを学ばさせるこの大学は、気が強く、早口でまくしたてるように話す頑固で、意地っ張りな風変わりな理子にとって背伸びした分居心地がやや悪く失敗したかもと思っていたので、都合はいいが、高校の無理しない感がいまとなっては心地良かった。


 そんなことを考えながら、武蔵野線から京浜東北線に乗り換えていく理子。


 これから、久しぶりに会う三人の友の顔を懐かしく思い出しながら。



 

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