第1話 雨宮理子あらわる

 武蔵野線車内。私の偏見かも知れないけど、この電車の乗客は良家の奥様みたいな身なりの良い人が多い気がすると雨宮理子は考えていた。


 理子の偏見ではない、この電車特有の一駅間の長さとぽつぽつと存在するショピングモールのある最寄り駅で、身なりがよい方たちがまとめておりてはまた違う乗客を乗せて、一路埼玉方面に向けて走る。


 さて、視点を雨宮理子に戻すと、耳のしたで髪の毛をきりおろしたカラスの濡れ羽色の黒い量の多い髪の毛をした標準よりもうやや小柄な少女は後ろの扉横に立ち、ウォークマンで音楽を聞いていた。


 理子にはどうしても自分じゃわからないことが多く、その一つが、耳鼻科では問題ないのに、耳が悪く、教室などで、話している友人じゃない周囲の声を拾ってしまったり、救急車のサイレンが苦手でなぜ人の役に立つものを許せない器量の狭さを持っているんだろうと今もウォーターマンで好きな音楽を聴きながら理子は心の中でため息をついていた。


けど、車窓にうつる浮かない顔をした理子は4ヶ月前まできてた、高校の制服じゃないし、校則もきつく、ダサい膝下丈のスカート丈とも無地の白いソックスともお別れの女子大学らしい上品な格好をしてる上に、車窓じゃ見えないけど、薄化粧もしており、数ヶ月前との自分の違いを感じていた。

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