微睡みに溺れる。

暖かな手のひらは幻覚か、優しい声は幻聴か。

微睡みに溺れている間は、それが微睡みなのかすらも分からない。


耳をつんざくような警告音で目が覚める。

さながら溺れかけた少女を助けたような、そんな顔で時を刻んでいる。


暑さから逃げるために、過剰に冷えたそれに頬を埋めた。


ー冷たい


何故いつも気が付かないんだろうと思う。

微睡みの中に、感覚なんてないのに。


(暗転)

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