おおかみくんとおとなたち。※死ネタ注意
もりの中にある小さなおうち
そこにはとってもやさしいおばあちゃんとすなおな男の子が住んでいました。
男の子はびょうきのおばあちゃんのためにもりの中にあるきのみをとったり、もりのふもとにある町までおつかいに行っていました。
すなおでかわいい男の子は町の人から人気でした。
町の人は言いました。
「何かあったら言ってね!」
男の子もそんなことを言ってくれるやさしい町の人がだいすきでした。
そんなある夜の日。
おばあちゃんのびょうきがもっとおもくなってしまいました。
まだ小さな男の子ではおばあちゃんをたすけることはできません。
男の子はひっしに走りました。
「何かあったら言ってね!」
町の人ならおばあちゃんをたすけてくれる。
そう思っていました。
しかし
町の人はだれも、たすけてくれませんでした。
かいものにきたのではないと分かると、「いそがしいから」と言って男の子をおいだしてしまいました。
男の子はいそいでもりにかえりました。
そしておばあちゃんにたすけられないことをつたえました。
するとおばあちゃんはやさしく男の子のあたまをなでてわらいます。
「おばあちゃんはね…お前といてしあわせだったよ」
つぎの日のあさ。
男の子のおばあちゃんはとおい空にたびだってしまいました。
男の子はひとりで泣きました。
泣いて泣いて、なみだがかれるまで泣きつづけました。
「何かあったら言ってね!」
そう言っていたのに。
町の人はだれもたすけてくれませんでした。
でも、男の子は町の人をうらみませんでした。
町の人はわるくないってわかっていたから。
つぎの日。
男の子は町の人におばあちゃんがしんでしまったことをつたえに行きました。
すると。
「なんでもっと早く相談しなかったんだ」
「なんで言わなかったんだ」
「おばあちゃんが死んだのはお前の力不足だ」
「おばあちゃんはお前といて不幸だったんだ」
「自分たちを非難するために町に降りてきたのか」
「私達は悪くない」
「全てお前のせいだ」
町の人々は男の子に罵詈雑言をあびせました。
自分たちが非難されないように
自分たちが傷つかないように
自分たちが罪を背負わないように
男の子はもうだれも信じなくなりました。
やさしくしてくれた町の人も
おばあちゃんも
全てが信じられなくなりました。
数年後。
男の子はおおかみ少年と呼ばれるようになりましたとさ。
めでたしめでたシ。
(暗転)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます