白日の夢。

夢を見た。


友人の君が黒縁に囲われた大きな画面の中で笑っていた。それを雑踏の中で僕は見上げている。

あの日と同じで目は合っているのに。

君の中に僕の姿はなく、黒い二重丸と強い光が僕の居場所を奪っていた。


嬉しかった。君が世間に認められることが。

たとえそれが夢の中でも。


語り合った君の未来予想図。栄光。

君も僕も、望んでいた事。

だったのに。


枕元に小さく点々とシミが出来ていた。

頬は一筋潤った道を示し、目がほんのりと熱い。

僕は泣いていた。


習慣的にスマートフォンを見る。

少し前には考えられなかった二桁の未読通知。

それを見てホッと息を吐いた。


ホッとした?


夢の光景がフラッシュバックする。


共に過ごした日々が、君にとって栄光への踏み台でしかなかったとしても。

そこに現れた一人のモブだとしても。


僕はこれからも君を呼び続けるよ。

たとえ君が僕を忘れても。

浅ましいと言われようと。


いつか本当に君の瞳に僕の居場所が無くなっても


「君を呼んでもいいですか?」



(暗転)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る