歪。
理性が溶けていくのを感じる苦いアルコールの匂いと、日常を覆い隠す甘ったるい香水の匂いが混ざり合う時刻。
蛍光の光を弾く黒のボンテージを纏って。私は赤い部屋の中で加虐の限りを尽くす。健康的な肌色が紅く染まるまで。悦びの声が掠れていくまで。
私の持てる全てのテクニックを持って、人を傷つける。
傍から見たら最低な人間だと思うんだろう。でもそれは大きな間違い。
この加虐は希望。普通という言葉に縛られた人たちが私たちだけに託せる甘く歪んだ望みだから。
だから私は、今日も軽くて重い鞭を振り下ろす。誰かの望みを叶えてあげるために。
ーーーーー
暗闇が光に溶けて全てを洗い流す時刻。
朝焼けの空に溶け込んでしまいそうな白のワンピースを纏って。私は暗い部屋の中で被虐の限りを尽くす。
不健康そうに燃える煙草の火が消えるまで。謝罪の声が掠れて届かなくなるまで。
私の今まで全てを否定されて、彼に傷つけられる。
傍から見たら最低だと思うんだろう。でもそれは大きな間違い。
この被虐は救済。誰かを傷つけた分私が受けなければいけない試練。
だから私は、今日も軽くて重い罵倒を静かに受け入れる。心の中に募っていくどうしようもないほど甘美で耽美な感情がバレないように。あくまで悦びを押し殺しながら。
(暗転)
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