ふゆのそら。

鼻先まで覆ったマフラーをずらすと、息が一息だけで凍ってしまいそうなほどの寒さが顔全体を襲う。驚いて吐き出された自分の温かな息が冷たい白に混ざって溶けていくのがなんだか少し不思議だ。ぼんやりと考えながらも手は早急にマフラーを定位置に戻す。


ぴゅーっと風が吹くとレンズ越しでも目を開いてなんていられなくて瞼を閉じた。簡易的な暗闇の中でカラス避けの花火が鳴る。

全てをつんざく銃声のようなその音に自分も射抜かれたような感覚に体が揺らぐ。どうにかして踏みとどまろうとしたが、その苦労はむなしく体はつるりと宙を舞って地面に叩きつけられた。

全身の痛みは転げたせいなのか、それともずっと冷気に晒されていたからか。疲れた思考回路では判別がまるでつかないけれど。


何だかこんなことも悪くはないなだなんて。息を吐き出して空を眺めると、清々しいほどの青空が視界いっぱいに広がっていた。



(暗転)

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