ふゆのそら。
鼻先まで覆ったマフラーをずらすと、息が一息だけで凍ってしまいそうなほどの寒さが顔全体を襲う。驚いて吐き出された自分の温かな息が冷たい白に混ざって溶けていくのがなんだか少し不思議だ。ぼんやりと考えながらも手は早急にマフラーを定位置に戻す。
ぴゅーっと風が吹くとレンズ越しでも目を開いてなんていられなくて瞼を閉じた。簡易的な暗闇の中でカラス避けの花火が鳴る。
全てをつんざく銃声のようなその音に自分も射抜かれたような感覚に体が揺らぐ。どうにかして踏みとどまろうとしたが、その苦労はむなしく体はつるりと宙を舞って地面に叩きつけられた。
全身の痛みは転げたせいなのか、それともずっと冷気に晒されていたからか。疲れた思考回路では判別がまるでつかないけれど。
何だかこんなことも悪くはないなだなんて。息を吐き出して空を眺めると、清々しいほどの青空が視界いっぱいに広がっていた。
(暗転)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます