あめあがりのそら。
目の前で赤く灯った信号。渡ってしまおうかなんて気は微塵も起きずに空を見上げる。視界に広がるのは、廃墟がましい建物とビル群。自分には縁の程遠い場所だなんて思いながら息を吐く。
まだ冷たい空に上気した息が回ってほんの少しだけ白く濁った。空気に溶けて行くそれを視線で辿ると、僅かに赤みがかった雲の隙間から鮮やかな青色が覗く空が視界を出迎えた。
白く心もとない防壁をずらして息を思いっきり吸い込むと雨の上がった後のような草木の匂いにほんの僅かに石油が混ざって鼻腔をくすぐる。
随分、この匂いにも慣れたものだ。
そう思いながらふと視線を信号に戻すと、点滅していた緑色が消えてまた赤色が灯った。
(暗転)
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