ひかれる。
「先輩変わりましたよね」
食後のコーヒーを啜りながら藍色の手帳を開いて次の予定を確認している先輩を見て、思わず口からそんな言葉が零れた。
「んー髪切ったからかな?」
「あー…外見的なことじゃなくて」
「え?違うの?」
私の言葉に先輩はきょとんと首を傾げる。耳にかかっていた髪がはらりと横に流れて白色のピアスを隠した。
「あーえっと…外見的なこともなんですけど」
「どういうこと?」
「先輩髪切ってから色々と変わったじゃないですか、ほらそのピアスも、前は絶対に付けないっ!って言ってたのに」
上手く言語化出来ない焦りをそのままに隠れたピアスを指さす。すると先輩は目を丸くしてからすぐに目を伏せて髪をかき上げた。日の光がピアスに反射する。
「引かれる後ろ髪もなくなったから…もういいかなって」
その声はなんだか、変わる前の先輩みたいに…黒く淀んだ色をにじませている気がした。
(暗転)
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