新婚さん…?

「ちょぉっと新婚らしさが足りないんじゃぁないですか?」


午後1時。ダイニングテーブルの上に置かれた置き手紙を読んで思わず大きな声が出た。寝起きだからか思った以上に声がガラついている自分は女性らしさが足りないなぁなんてぼんやりと思う。


ーおはよう

あさごはん…いや、きっとおひるごはんになっているかな?

れいぞうこによういしておいたからたべてね

だいどころにおみそしるもあるよ!


男の子には珍しいまるっこい文字で書かれた平仮名ばかりのメモ用紙。

寝起きの私はまともに文字すら読めないことを気遣ってか…いや、単純に漢字を書くのが面倒くさかったんだろう。

お腹がぐぅっと鳴る。昨日まともにご飯を食べた記憶がないので、おそらく胃が何も入ってこない状況にブーイングを起こしているんだろう。

とりあえずまずはメモに書いてある通りになったご飯たちを食べてしまおう。


「…って何やってんだろ」


そう呟いてため息をひとつ。

ようやく現実を直視した私は、昨日自分で書いたメモをぐしゃりと握り潰してふわりと鼻先を漂ってくるご飯の匂いにつられながらリビングを後にした。



(暗転)

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