姉。

姉という人間が分からない。

せっかく晴れているというのに部屋から出ようとしないし、あれだけ手伝いを面倒臭がっているのに、やたらと記念日だけを気にする。周りを気にするくせに突拍子もないことを言って家を出て行ったし。今ではめっきり帰ってこない、帰ってきたと思えば小言がうるさいし、先に寝かせるくせに自分は夜遅くまで起きている。

一体何が好きなのか何がしたいのか。分からない。

それなのに、この家にはあまりにも姉の色が色濃く残っている。もう三年はいないくせに、家のかしこにまだ姉がこの家にいたころの名残がある。

近いうちに帰ってくるらしい。その時は少しでも話してみようと思う。

全く分からない姉を知ってやるためにも。



(暗転)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る