甘い。
チョコレートがひとつ。足元に転がっていた。
拾って包装紙を開けて口に放り込む。苦さの奥に小さな甘味。
ころころと口の中で転がして目を開くとまた少し先にチョコレートがひとつ、転がっていた。
手を伸ばしてまたひとつチョコレートを食べる。
甘味が強くなる。
視線を上げるとまた少し遠くにチョコレートがひとつ。
足を伸ばしてまた拾い上げる。
手を伸ばす。食べる。甘さはどんどん増していく。
甘いのが大好きな私にとって、大好きな道が続いている。
そんな時だった。
チョコレートが途絶えた。あると思ってたのに不意になくなった。
そう気が付いた途端に、私はどこに行けばいいか分からなくなった。
今まではチョコレートを辿ればよかったのに。
甘い道しるべをなくしたその口に残るのは鼻をつくような気持ち悪い甘ったるさだった。
(暗転)
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